Arban

Arban

Column with 証言で綴る日本のジャズ 3 【はじめに】

証言で綴る日本のジャズ 3 【はじめに】

COLUMN
INFORMATION

 戦後のジャズ黎明期から関わってきたミュージシャンや関係者26人に聞いたお話を紹介した『証言で綴る日本のジャズ』が上梓できたのは2015年のことだった。当然のことながらご高齢の方が多く、貴重なお話を語っていただけたとの思いを強くした。

 しかしお元気な方はまだまだいらっしゃるし、そうした方にしか語れない興味深いお話もいろいろとあるに違いない。そこで、最初に登場していただいた方の続編的なお話も含めて28人のインタヴューを紹介したのが2016年に出版した『証言で綴る日本のジャズ 2』だった。

 これで打ち止めにするつもりだったが、この本が世に登場するころにはさらにインタヴューを続けたい気持ちが膨らんできた。諦めが悪いというか、懲りない性分というか。最初の本を出す前から、「これをライフワークにしよう」と考えていたことも、気持ちのあと押しになった。

 理由はなんとでもいえるが、ともあれ「いろいろなひとから話を聞きたい」——これが最大の原動力だ。それというのも「ひとに歴史あり」で、どの方の人生も興味深い出来事に満ちているからだ。

 ジャズ・ミュージシャンや関係者のインタヴューではあるが、このシリーズではそのひとの歩んできた道を知ることで、ジャズにどのような関わりをもってきたか、あるいはジャズにどのような貢献を果たしてきたかが見えてくる。そこが話を聞いていていちばん面白く、かつ興味深い部分でもあった。

 これまでの二冊では終戦後の米軍キャンプや銀座を中心としたキャバレーなどで、日本人の演奏するジャズがどのように育まれていったかがメインの話題だった。1960年代に入ってからのジャズ・シーンにも触れてはいるが、中心はあくまで戦時中から50年代にかけての話である。

 今回は、その時代を生き抜いたミュージシャンにも触れることになるが、それよりは次の時代、すなわち60年代末から70年代初頭にかけて巻き起こった日本のジャズの大ブームに主眼を置きたいと思っている。

 今年(2017年)は戦後72年である。その前後に生まれたひとたちが今回の主役になるだろうか。これまでの二冊とは違い、この『証言で綴る日本のジャズ 3』は、すべてのインタヴューを終えてから発表するのではなく、インタヴューと同時進行でWEB上で発表されていく。したがって、この先、どのような方のインタヴューが実現するかは現時点で不透明な部分も多い。

 いずれは出版を計画しているが、それまでは読者のみなさんも筆者と一緒にジャズの歴史をたどっていただければと思っている。さて、いかなる展開になるのか。それは誰にもわからない。

2017年9月20日

小川隆夫

 

ARCHIVES

PROFILE

小川隆夫
小川隆夫

1950年、東京生まれ。東京医科大学卒業後、81~83年のニューヨーク大学大学院留学中に、アート・ブレイキー、ウイントンとブランフォードのマルサリス兄弟などのミュージシャンをはじめ、主要なジャズ関係者と親交を深める。帰国後、整形外科医として働くかたわら、音楽(とくにジャズ)を中心にした評論、翻訳、インタヴュー、イヴェント・プロデュースを開始。レコード・プロデューサーとしても数多くの作品を制作。著書は『TALKIN’ジャズ×文学』(平野啓一郎との共著、平凡社)、『証言で綴る日本のジャズ』、『同 2』(駒草出版)、『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと』(河出書房新社)、『マイルス・デイヴィスの真実』(講談社+α文庫)など多数。2016年にはマイルス・ミュージックにオマージュしたバンド、Selim Slive Elementzを結成。2017年8月にデビュー作を発表。