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後藤雅洋(いーぐる店主/ジャズ評論家)| 2016 The Best Albums あの人が選ぶ今年の3枚
 

後藤雅洋
いーぐる店主/ジャズ評論家

ジャズ喫茶いーぐる経営のかたわらジャズ評論を行う。著書『一生モノのジャズ名盤500』(小学館101新書)など多数。現在小学館より隔週刊CD付きムック『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』の監修担当。ミュージックバード出演、USEN番組制作。
http://d.hatena.ne.jp/eaglegoto/

半世紀近くジャズに関わってきたが、ここ数年ジャズ・シーンは非常に活性化しており、明らかに何度目かのピークを迎えている。しかしそれは過去に何度かあった「スタイルの転換期」ではなく、「ジャズという概念自体の変革期」を迎えているという予感がある。問題は、過去のジャズの伝統と現在の「新たなジャズ」を巧く結びつける評論がいまだ不十分なところだろう。一部には優れた紹介誌が出版されてはいるが、それらはどちらかというと今までジャズから疎外されていた聴衆層に向けたもので、ある意味で保守的な従来からのジャズファンに現代ジャズの面白さを伝える努力は、道半ばという感触を持っている。

  • GOGO PENGUIN
    Man Made Object

    今年ライブを観て非常に感心したグループだ。とりわけ、ロブ・ターナーのドラミングが鮮烈。従来のピアノトリオの概念を覆す演奏ながら、ターナーとリーダー格のベーシスト、ニック・ブラッカとの絡みが生み出す刺激的なグルーブ感は、ジャズとしか言いようがない。ここ数年顕著になったリズムの革新、そしてジャズ概念の刷新を体現しているグループのひとつ。

  • 上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト
    SPARK

    こちらもライブが良かった。伝統的なピアノトリオの文脈に収まるように見えつつ、やはりドラマーとの関係は極めて刺激的。ゴーゴー・ペンギンとはまったくタイプが違う音楽ながら、ライブにおけるグルーブ感という点では共通している。

  • Steve Lehman
    Sélébéyone

    セネガルのラッパーが新鮮。ヒップホップとジャズが融合した成功例だろう。その理由は、やはりリーマンのアルト・サックスにある。熱気を帯びた演奏は従来からのジャズの文脈ときれいに繋がっている。とりわけ最後のトラックの、オーネットへのオマージュとも思える熱演は圧巻。