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Interview with Cro-Magnon-Jin 4人の新人(類)が奏でる
ヴィンテージ・ファンクの進化形
取材・文:大前至
写真:難波里美

Cro-Magnon-Jin

INTERVIEW
INFORMATION

 日本を代表するヒップホップ・グループ、RHYMESTERのメンバーであり、自らレジデントを務めるマンスリーイベント『Breakthrough』などで幅広いDJプレイを聴かせるDJ JINと、日本が世界に誇るダンスミュージック・バンドCro-Magnonのコラボレーションによって生まれたスペシャル・ユニット=Cro-Magnon-Jin(クロマニヨン・ジン)。共にクロスオーバーした広い音楽性を持つ両者が、敢えてディープな“ファンクミュージック”の世界にドップリと浸かり、音質の面なども含めてとことんまでこだわり抜いたアルバム『The New Discovery』を完成させた。
 3月4日に『Breakthrough』にて行なわれたアルバムのリリースパーティでは、Cro-Magnonの超絶なプレイと共にDJ JIN自らターンテーブルやパーカッション、マイクを使って参戦し、すさまじい気迫のライブを披露していた彼ら。その1週間ほど前、ライブのリハーサルの最中であった4人(大竹重寿/dr、コスガツヨシ/b、金子巧/key+DJ JIN)に集まってもらいJAZZY SPORT(東京都目黒区)にて話を聞いた。

  ――まず、Cro-Magnon-Jinとしてやることになった経緯は? 2013年にJAZZY SPORTから出たコンピ『Pound For Pound Vol.3』に収録された「QP Funk」が一番最初ですよね。
DJ JINバスに乗ってて、ふと「Cro-Magnonってやっぱかっけえな~」って。で、「Cro-Magnon、DJ JIN、Cro-Magnon、DJ JIN……クロマニヨン・ジン?!」みたいな(笑)。それでバスを降りて、ツヨポン(コスガ)に電話をして、「良いっすね」って話になって。側(がわ)ができたから、じゃあ中身をどうしようか?って。自分はやっぱりファンク・ミュージックが好きだし、Cro-Magnonは人力ダンスミュージックっていうスタイルはあるけども、そこに敢えて、ファンクを演奏してもらうのはどうかな、と。そういうコンセプトでまずはスタートして。
コスガ:ダジャレ先行型ですね(笑)
――DJ JINプロデュースって形で、どのような流れで曲が作られるんでしょうか?
コスガ:ジン君が曲のアイディアを持ってきてくれて、それを自分らで演奏してみて。そこから、こういうのを足してみようかとか、ジン君にもさらに意見をもらったりして。
大竹:そういうのが7割くらいで、あとの3割は、スタジオで軽くセッションしてたら、ジン君が「良いね、それ。入れようよ!」ってみたいなのもあったり。
――アイディアっていうのは具体的に参考になる曲を持ってきたりして?
DJ JINそうですね。コードとかいわゆる楽理的なことは分からないんで、自分が持っているファンクの曲のアーカイブが勝負っていうか。この曲のこの感じと、この曲のこの感じを混ぜ合わせていくような。あとは俺がコードとかで伝えられないところを、鼻歌とかで伝えて。
大竹:ジン君の指示はわかり易いよね。それですぐに曲ができちゃう。
コスガ:3人でやってると、良いっていうラインが見えないときとかがあったりするけど、ジン君が「良い」って言ってくれたら、そこに疑いを持たずに曲として演奏できるっていう。第三者として、そこのキューを出してくれるのはデカいですね。
――今回のアルバム『The New Discovery』ですが、CDの前にまず7インチのアナログ盤4枚セットでリリースしたのは?
DJ JINファンクをやるのであれば、やはり7インチで出したいっていうのがあって。自分に限らず、Cro-Magnonのみんなもアナログレコードの良さを分かっているから。
コスガ:7インチを出すことに意味があったかもしれないですね。
DJ JIN7インチの詰まった音でね。アルバムサイズで何かを作りたいっていうのはあって、ジャジスポに話をしたら、たとえば3ヶ月おきに7インチをリリースするっていうやり方もあるけど、一曲ずつ録るよりはスタジオに入って一気に貯め録りしちゃうほうが良いんじゃないかって。だったら、ボックスセットみたいにまとめて出せないかって話をしたら、ジャジスポ側もそうしましょうって。
写真は7インチのボックスセット

――アルバムでやろうってなった時に、具体的にどういう要素を入れようとした?

DJ JINこの時代だからこそ、せっかくバンドとコラボするなら、ビンテージファンクをやるんじゃなくて、今のファンク・ミュージックをやろうって。今の技術とか、スタジオとかエンジニアさんとかも使って、本気で今のファンクを作りたかったっていうのはありましたね。
大竹:でも、使った機材はビンテージでしたよね。
DJ JIN今回、池袋にあるDedéっていうスタジオを使って。そこはジャズ系のレコーディングを多くやっているところで、ビンテージの機材とか楽器とかいっぱいあるんです。
大竹:ドラムとかもすごい良くて。ジャコ・パストリアスの1980年代の教則ビデオでケンウッド・デナードが叩いていたドラムそのものがあるんですよ。スネアとかも10個ぐらいあったり、シンバルもいっぱいあって。僕は普段、機材とかにはそこまで気にしないんですけど、バスドラにしてもタムにしても、やっぱり良い音するんですよね。
DJ JINそういうところでしっかりレコーディングして。それをエンジニアの奥田(泰次)君がホームにしているミックススタジオで今の音に変えていく作業をして。
――レコーディングは3人で一斉に?
大竹:ベーシックトラックに関しては、ほとんど最初から最後までほぼ全部一斉のドンで。
DJ JINクリック音も無しで。原始的なものを出したくて。
――じゃあ、BPMが狂う時もあると?
DJ JIN狂うというか、本質的に狂っていこうっていう(笑)。だから、オーバーダビングはできるけども、編集はできない。
大竹:けど、クリックがないとすごく集中できるんですよね。「First Landing」を録っている時に、(コスガ)ツヨシのベースとタク(金子巧)ちゃんのピアノ、それから俺のハットとスネアがこんなに一体になったのは初めてで。クリックじゃなくて、2人に合わせるから。その生々しさが本当に録れている。
DJ JINやっぱ、Cro-Magnon-Jin(=クロマニヨン人)っていう原始的な、機械に制御されてない、音楽の初期衝動的な部分も詰め込みたかったんで。
――今回リリースされたCDに関しても、少し変わったやり方でマスタリングしたとか?
DJ JINマスタリングもドイツのアナログ専門のエンジニアに頼んだんですけど。マスタリングが上がってきたとき、そのマスタリングエンジニアからのメールに「この音源はアナログレコード専用のマスタリングだから、絶対にこのままCDや配信に使うな!」っていう注意書きがあって。それで、じゃあそのアナログのテスト盤を使ってそこから“盤起こし”っていう形でCDとか配信の音源を録れば面白いんじゃないかって。
大竹:実際、CDにした時に7インチの音がするんですよね。
DJ JIN針が溝を擦っている「サー」っていう音とかが曲の頭とケツにちょっと入っている。もともと、エンジニアの奥田君の提案でやったんですよ。けど、そんなことやったことないから、どうなるんだろう?って思ったけども、やっていくうちにこれは正解だって。
――アルバムができて、全体的な感想はどうでしょうか?
コスガ:良いのができたなって。とにかく音良いなと。
大竹:今まで録ったなかでもしかしたら一番、ドラムサウンドとかも生々しくて。あとピアノだよね。スゲえ良い音が出てる。
DJ JINやりたいことをやらせてもらって、夢がひとつ叶ったくらいですね。まあ、ある意味、わがままっていうか、やりたいことをそのままやらせてもらえるなんて、このご時世、なかなか難しいので。
――Cro-Magnon-Jinを経て、それぞれ何を得ましたか?
DJ JINひとつの到達点に届いたというのもあるし。あとは改めてCro-Magnonの懐の深さというか、演奏とかスタイルの底知れなさを知って、リスペクトがさらに深まるっていうか。やっぱりすごいなって。
大竹:最近、(元)SUPER BUTTER DOGのTOMOHIKO君とかタケちゃん(竹内朋康)とかのファンキーチームとセッションしていると、今までと違ったフィーリングが出せるというか。ジン君は覚えてないかもしれないけども、レコーディングのときに「スネアのゴーストをもうちょっと大きめに叩いたほうがファンクっぽくなるよ」みたいなアドバイスをくれたり。実際、録音して聴いてみるとそうなんですよね。そういうことが個人的にはフィードバックできたなって。
金子:今までやってきたファンクとは違うファンクを教えてもらったというか。同じファンクかもしれないけど、でもなんか違うイメージで。プロデュースって、もとは1人のアイデアからじゃないですか。頭からケツまで、3人だけじゃないっていうのも初めてだし。カバーでもしてこなかったようなこういう曲たちを演って終わったときの充実感は、今までになかった経験でしたね。
コスガ:思っていることを何でも曲にしていったほうが良いなっていうのが一番デカいかもしれないですね。視野が広がりました。あと、学んだことといえば、7インチで出すことによって、音の定義というか音質の提唱をできたのも嬉しかったですね。こういう音で聴いてほしいっていうのを耳元まで届けられるというか。テープ出すのも良いなって改めて思ったし。そういう音で聴いてほしいですよね。
 
 
リリース情報
アーティスト:Cro-Magnon-Jin
タイトル:The New Discovery
レーベル:Jazzy Sport
発売日:2016年3月5日(土)
価格:2,300円(税別)
 
■Amazon
http://goo.gl/DH1Ov2


 

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