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Interview with ローラ・イスラエル “インタビュー嫌い”の巨匠ロバート・フランクを追った
ドキュメンタリー映画完成。監督を直撃!!
取材・文/村尾泰郎
撮影/天田 輔

ローラ・イスラエル

INTERVIEW
INFORMATION



Photo of Robert Frank by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC

──音楽も効果的でした。ボブ・ディラン、パティ・スミス、トム・ウェイツ、チャールズ・ミンガス、ホワイト・ストライプスなど、さまざまなアーティストの曲が使われていて、音楽監修はハル・ウィルナーですね。
 
「彼はロバートと『キャンディ・マウンテン』で一緒に仕事をしていて、オファーをしたら『ロバート・フランクは大好きだから、ぜひやらせてほしい』って言ってくれた。映画で使われている曲は全部、私が選んだ。ハル・ウィルナーが『どんな曲を使いたい?』と訊いてきたので、思いついた曲をリストアップしたら『どの曲も僕のお気に入りだよ』と喜んでくれたわ。さらに『トム・ウェイツはこの映画に自分の曲が使われることを喜んでいるから、もう1曲使ったらどう?』とも提案してくれて、それでトム・ウェイツを2曲使った。ボブ・ディランやチャールズ・ミンガスなど、普通はなかなか映画での使用許可が降りないアーティストも『ロバート・フランクの作品なら』ということで曲を使わせてくれた」

──ちなみに、フランクは日頃どんな音楽を聴いているのでしょう。
 
「いろんなものを聴いてるけど、なかでもハンク・ウィリアムスが大好きね。ハンク・ウィリアムスの未完成の歌詞を、いろんなアーティストが曲として完成させたアルバムがあって(恐らく『The Lost Notebooks of Hank Williams 』のこと)、それを彼にプレゼントしたら『気に入った!』って言ってた」

ロックに没入した70年代……
迷いを断ち切ったフランクの言葉


──あなたはフランクと一緒に仕事をするようになって長いですが、そもそも、どういう経緯で映像に興味を持つようになったのですか?
 
「小さい頃からクローゼットを暗室にして、そこで煙草をふかしながら現像してたの(笑)。田舎に住んでたんだけど、カメラをぶら下げてニューヨークまで行って写真を撮りまくってたわ。そのうち、ロック専門のカメラマンの友達ができて、その友達のアシスタントとしていろんなライブにタダで潜り込んでた」
 
──どんなバンドのライブを観ていたんですか。
 
「70年代の後半だけど……、挙げたらきりがないくらいたくさんのアーティストを観てきたわね。ニューヨーク・ドールズ、スーサイド、ブロンディ、パティ・スミス、ラモーンズ……。クラッシュが来たときは毎晩行ってた。とにかく一晩中、いろんなライブを観て過ごしていた。寝るのが惜しいくらいエキサイティングな日々だったわ」
 
──その体験が今の仕事に繋がっていくわけですね。フランクと一緒に仕事をするようになって、彼からはどんな影響を受けましたか?
 
「いちばん大きいのは、とにかく進み続ける、仕事をし続ける彼の姿勢ね。そんな彼の姿を通して、やり続けるということがいかに重要かということを知った。彼の言葉で胸に響いたのは『自分で自分のルールを作れ。自分で自分の道を決めるんだ』というもの。それは、ミュージシャンであろうが、写真家であろうが、詩人であろうが、アーティストにとって、とても重要な言葉だと思う」



──タイトルの『Don't Blink』(=まばたきをするな)もフランクの言葉からの引用ですね。

「以前、ジャーナリストから『若い写真家にアドバイスをお願いします』と言われて、ロバートが答えたのが『目を見開いて、目を閉じるな(Keep Your Eyes Open, Don’t Brink)』という言葉だった。最初、映画には別のタイトルを考えていたけど、ロバートのほうから『〈Don't Blink〉でどう?』
と提案されたの。それで撮影した素材をチェックしたら、彼は撮影中にも『Don't Blink』と言っていたので、これでいこうと決めた」


──タイトルそのままに、アートを志す者にとって刺激になるような作品になりましたね。

「何年か前に教師になろうと思ったことがあって、それでロバートに『アーティスティックなインスピレーションを得ようとしている学生たちに、どういうふうにアドバイスをしたらいいと思う?』と相談したら、彼は『俺と一緒にいたら、たくさんのことを学んでもらえると思う』と答えた。確かに私は彼の近くにいたことによって、アートについてだけではなく、人生についてもたくさん学んだ気がする。だから、『自分が彼の近くにいられるのはとても特別なことだから、この体験を他の人たちと共有したい』と思いながら、この映画を撮っていた。その一方で“彼を崇拝してはいけない”とも思っていた。本来の彼の姿が捉えられなくなってしまうから」

──この映画の撮影は、あなたにとっても特別な体験だったんですね。

「映画は作り上げるまで大変なの。途中で自信が揺らいできて、いろいろと迷う時期がある。そんな時にロバートから『どう? 映画の調子は』と言われて『大丈夫よ』と答えたの。そしたら彼が『キミのことは信頼してる。きっと良い映画ができるよ』と言ってくれて。それでちょっと心が軽くなった。と同時に、しっかり前を向いて進まなきゃ! という気持ちにもなった。だから『Don't Blink』は、自分自身にとっても完璧なタイトルね」






■映画情報
タイトル:「Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代」
監督:ローラ・イスラエル
撮影:リサ・リンズラー、エド・ラックマン
編集:アレックス・ビンガム
音楽プロデューサー:ハル・ウィルナー
参加アーティスト:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ローリング・ストーンズ、トム・ウェイツ、パティ・スミス、ヨ・ラ・テンゴ、ミィコンズ、ニュー・オーダー、チャールズ・ミンガス、ボブ・ディラン、ザ・キルズ、ナタリー・マクマスター、ジョセフ・アーサー、ジョニー・サンダース、ザ・ホワイト・ストライプス
作品情報:2015年/アメリカ・フランス/82分
配給:テレビマンユニオン

http://robertfrank-movie.jp/

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