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Interview with マイルス・エレクトリック・バンド
Part 1
「マイルス・デイヴィス門下生」たちが語った
知られざるマイルス伝説
撮影/Masanori Naruse 小泉 健悟

マイルス・エレクトリック・バンド Part 1

INTERVIEW
INFORMATION

  左から、小川隆夫、ヴィンス・ウィルバーンJr.、ダリル・ジョーンズ、ロバート・アーヴィング3世

 

リハーサル現場にマイルスから電話
「お前たち、レコード作らないか?」

 
 
小川 ところで、みなさんはシカゴ出身で、マイルス・デイヴィス・バンドに加入する前から、お互いを知ってたわけですよね。
 
ヴィンス そうだね。ダリルがいちばん年下。ベイビーってことだな(笑)。ロバートと俺は昔から一緒にファンクバンドをやっていたり……、ほら、俺たちはそういう関わり方なんだよ。一緒にバンドやったりもするし、各々が街のどこかでプレイしてて、ライバルではなく、どこかで繋がってる……そんな関係だったね。
 
小川 マイルス(との関係)以前に、お互いを知っていた?
 
ヴィンス 知ってたよ。ドラマーもキーボーディストもみんな一緒にツルんでた。
 
ロバート もちろん、一緒にプレイすることもあった。
 
ヴィンス そういえば当時、ロバートと俺が一緒にバンドをやってて、マイルスがリハーサル現場に毎日電話してきてたよな。電話越しに意見をあれこれ言うんだ。そして、ある日マイルスが「お前たちレコード作らないか?」って言い出した。それが『マン・ウィズ・ザ・ホーン』(マイルス・デイヴィス/81年)になったんだ。

ダリル いま、ふと思いだしたんだけどさ、2人がマイルスと会った夜、町に戻って来て、俺と一緒に過ごしたよな。
 
ヴィンス あのとき、お前はキース・ヘンダーソンとギグやってたよな。
 
ダリル 場所はストーニー・アイランド……だっけ?
 
ヴィンス いや、あの隣だよ。
 
ダリル ヘラルド・チキンの隣? っていうか、そんなことはどうでもいいんだよ(笑)。俺たちは古くからの仲間だったってことを言いたかったんだ。
 
ヴィンス お前の家の前で車を停めたのは覚えてるんだ。あのとき誰が一緒に車に乗ってた?
 
ダリル お前らは俺の家の前にしょっちゅう車を停めて話してたじゃないか(笑)。それより、俺はロバートに訊きたい。ロバートは俺のことをいつ知った?
 
ロバート いい質問だ。
 
ダリル その前にひとつ言わせてくれ。俺をここまで仕込んでくれたのはロバート、あんただ。初めてのレコーディング・セッションのときも一緒だった。それにたぶん、俺が初めてクラブでギグをやったときも一緒だったはずだ。クラブで(法的に)演奏できる年齢に達してなかったからね。たしか俺がまだ16歳だか17歳ぐらいのとき。
 
ヴィンス ロバートはきっと噂で聞きつけたんだぜ。若くてホットなヤツがいる、って。そうだろ?
 
ロバート そうさ、俺はどこかでお前の噂を聞いたんだ。
 
ダリル そういえば、高校1年のときに、オーケストラのディレクターにこう言ったのを覚えてるんだよ。「今日のオーケストラのリハーサルには参加できません。23rd通りとコッテージ・グルーヴ・アベニューの角にあるブーチーズ・ブルーズ・クラブの2階でレコーディング・セッションがあるから」って(笑)。それが俺にとっては最初のレコーディングだ。あの頃からずっと一緒にいるんだな……。
 
小川 それって70年代の話だよね。
 
ダリル そうだね。77年くらいか? ヴィンスと俺が一緒にプレイし始めたのは……あれは俺が大学から戻ってきたときだから……79年か80年だね。ギグに向かうときは、いつもヴィンスが俺を迎えにきて、帰りも送ってもらってた。で、うちの前に車を停めて、シートに座り込んで考えるんだ。「俺もいつかマイルスとプレイしたい」って。そんなことを夢見てた。彼とライブで演奏できたらどんなにクールだろう、ってね。
 
小川 その時にはすでに、彼(ヴィンス)がマイルスの甥だってことは知ってた?
 
ダリル あぁ。もちろん。彼らが『マン・ウィズ・ザ・ホーン』をレコーディングしてた時だからね。
 
小川 『マン・ウィズ・ザ・ホーン』のレコーディングは1980年の5月だったよね。
 
ヴィンス 1979。
 
ロバート そう。1979年だよ。
 
小川 本当に? 僕が持ってる資料では80年になってたな。
 
ヴィンス あれは長いプロセスを経て完成したものだからね。79年の夏から80年にかけてレコーディングして、レコードが発売されたのが81年。「1980s」って曲があったぐらいなんだから。


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