Arban

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Interview with スナーキー・パピー “3度目のグラミー獲得”直後の本人が語った
スナーキー・パピー14年目の真実
後編
取材・文/林 剛
撮影/古賀 恒雄

スナーキー・パピー

INTERVIEW
INFORMATION

 外部からゲストを招かず、スナーキー・パピーのメンバーだけで録音したという最新アルバム『Culcha Vulcha』。これまでのような“ライブ一発録り”ではなく、スタジオ録音作ということもあり、本作ではボビー・スパークス(キーボード/オルガン)のように“メンバーではあったが全ての作品やパフォーマンスに参加していなかった人たち”も集結。マイケル・リーグは「これが本当のスナーキー・パピーとしての作品だ」と強調する。
レーベル運営やプロデューサーとしての立場を語った前編に引き続き、マイケル・リーグが考える“スナーキー・パピーの現在と未来”。

——40名近くのメンバーを抱えながら、流動的で、ライブでは10人を超えないのが基本ですよね?

「9人か10人がベストだね。10人を超えると演奏している人間の自由がなくなってしまうし、9名未満だと自分たちが求める大きなサウンドにならない。例えば今回のツアーも、70日間あるから常にどこかで誰かが去って、誰かが戻ってくるってことになる。だから常に新鮮な気持ちでツアーに参加できる。本当に素晴らしいシステムだと自分では思っているんだ(笑)」

——今回のブルーノート東京公演には、パーカッションの小川慶太に加え、ロイ・ハーグローヴのRHファクターにも参加していたボビー・スパークスとドラムスのジェイソン“JT”トーマスも同行しています。RHファクターといえばスナーキー・パピーがテキサスで結成された2004年には既に人気でしたよね?

「RHファクターはスナーキー・パピーに最も影響を与えた存在なんだ。JT、ボビー、それに(NYからダラスにやってきたヴェテランの)バーナード・ライトはダラスの音楽シーンを担ってきた人たちだと思っていて。僕はダラスから北に1時間くらいのところにあるノース・テキサス大学に通っていて、卒業後ダラスに引っ越した時に彼らの活躍を目の当たりにしたんだ。RHファクターもそうだし、カーク・フランクリン、エリカ・バドゥなんかも(地元で)活躍していて、すごく興奮したね。彼らは僕にとって今もヒーローだよ」



——スナーキー・パピーにも籍を置くロバート“スパット”シーライトが一時期参加していたRC&ザ・グリッツとも繋がっていますよね?

「もちろん! じつは僕も1〜2年くらいグリッツのベース奏者だったことがあるんだ。RC&ザ・グリッツって、今ではメンバーが固定したバンドとして自分たちの音楽をやっているけど、当時は水曜日の夜にジャズ・クラブでジャム・セッションを始める前にヒップホップやR&Bのカヴァー・ソングをメンバー入れ替わり立ち替わりでワンセット演奏していたんだ。スパットやショーン・マーティンが参加していたのもその頃だね」

——スパットやショーン、それにボビー・スパークスはカーク・フランクリン肝煎りのゴッズ・プロパティ出身でもありますが、あなたもゴスペルから影響を受けていますよね?

「ゴスペルと初めて関わったのは自分がハイスクールにいた16歳の時で、ワシントンDCの黒人が集まるバプテスト・チャーチでギターを弾いたんだ。ただ、本格的にゴスペルにのめり込んだのは大学を出た22〜23歳頃、ダラスに引っ越してからなんだ。当時、3年間のうちに演奏していた半分は教会の中か、クラブでゴスペルのアーティストたちとギグをするという感じだった。カーク・フランクリンのもとでギターを弾いたり、1曲だけマイロン・バトラーの曲でホーン・アレンジを手掛けてベースを弾いたこともある。とにかくダラスのゴスペル・シーンにはすごく影響を受けていて、神様がどうのではなく、ゴスペルのアティテュードやアプローチを学んで、それをスナーキー・パピーでも実践しているんだ。ジャズの世界には自分たちのためだけに演奏しているような人も多い。でも、僕らとしては、ゴスペルがそうであるように、より観客と繋がろう、伝えたいっていう気持ちでやってるんだ」

——新作の予定は?

「来年初頭には出そうと思っている。ただ、僕が考えているアイディアが壮大で、ものすごくコストがかかる。だから、日本以外の国で音楽が全く売れなくなってきている今、本当にそれだけの費用をかけてそれに見合うだけのことができるかわからないし、自分の考えが実現するかどうかもわからない」

——『Family Dinner』の第3弾はあり得るのでしょうか?

「あのシリーズはスナーキー・パピーのアルバムだとは思っていなくて、そもそも若い人たちのために収益の全てを教育機関に寄付するベネフィット・アルバムなんだよね。だからアーティストはタダで参加してくれるけど、飛行機代、ホテル代、スタジオ代……と莫大な費用がかかる。だからどうなるかわからないけど、できたら嬉しいね」



取材協力:ブルーノート東京