Arban

Arban

Interview with アロルド・ロペス・ヌッサ 「世界中のファンたちと音楽の感動を分かち合いたい」 取材・文/熊谷美広
撮影/山路ゆか

アロルド・ロペス・ヌッサ

INTERVIEW
INFORMATION

 キューバ出身で、卓越したテクニックと強力なリズム感。そしてジャンルやスタイルにとらわれないイマジネーション豊かな音楽性で、大きな注目を集めているピアニスト、アロルド・ロペス・ヌッサ。昨年リリースしたアルバム『エル・ヴィアッへ』は、日本のジャズ・ファンの間でも話題となり、この9月には、アルバムと同じトリオでの来日公演も果たした。そんな注目のピアニストに、話を聞いてみた。

——​まずは、ピアノを始めたきっかけを聞かせてください。

「ぼくはハバナにある小さな街で生まれました。叔父のエルナン・ロペス・ヌッサはキューバでは有名な音楽家で、父親はドラムを、母親はピアノを弾いていました。だから家ではいつも音楽を聴いていたし、キッチンの前にはピアノがあって、それを弟と一緒に毎日弾いていました。その後、8歳から音楽学校に入学して、クラシック・ピアノを勉強するようになりました」

——ジャズと出会ったのは?

「家ではジャズもよく聴いていて、子供の頃から興味はあったけど、ジャズは譜面にないことを弾くので、それが怖くて演奏することはなかったですね。でもキューバではクラシック・ピアノをやっている人は多くて、ピアノの大会に出てもいい結果が出なくて、クラシックを弾くことがだんだんストレスになってきて。ちょうどその頃にチューチョ・ヴァルデスのプレイを聴いて、すごく感動して、ぼくもジャズを弾きたいって思うようになりました。ジャズは自由だから、そっちの方が自分に向いているのかなって思い始めるようになって」

——​弟のルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサさんからは、音楽的な影響はあったのでしょうか?

「ずっと一緒にやってきたし、一緒に学んできたから、自分自身では気付いていないけど、影響は受けていると思いますね。いまも、音楽についてよく話し合いますし、ライヴの後もよく反省会をしています」

Macintosh HD:Users:kusumoto:Downloads:HAR_0212.JPG

——キューバ人以外のピアニストで、影響を受けた人はいますか?

「いっぱいいますよ。ハービー・ハンコック、ビル・エヴァンス、チック・コリア、キース・ジャレット…。キースは日本でもすごく人気が高いと思うけど、キューバでも彼に憧れているピアニストは多いです。彼のプレイも曲も、みんな大好き。彼の音楽は、心で感じることができるんです。その、心で感じられるということ、音楽で感動できるということが、いちばん大切なことだと思っています」

——​あなたが十代の頃(キューバ国内で)他国のジャズ・ピアニストの演奏に触れる機会はあったのですか?

「生演奏に触れる機会はそれほどなかった。ぼくが22歳のとき(2005年)にモントルー・ジャズ・フェスティヴァルのピアノ・コンクールに出て優勝して、そのときにマッコイ・タイナー、ボビー・マクファーリン、ベラ・フレックなどのライヴを見て感動して、よりジャズでがんばりたいって思うようになりました」

Macintosh HD:Users:kusumoto:Downloads:HAR_0104.JPG

——​キューバ以外の国で演奏するようになったのは、それ以降ですか?

「そうです。ぼくの夢は、世界中で演奏することで、周りの人たちの協力もあって、いま、それができるようになりました」

——​日本でのライヴの感想は、いかがですか?

「日本のファンの方は、みんなミュージシャンに対するリスペクトを持って聴いてくれるから、そこが素晴らしいと思います。あと街もきれいだし、食事もおいしいし、文化も好き。あ、ぼくは寿司が大好きです(笑)」

——​あなたの今のトリオは、弟さんのドラムと、セネガル出身のベーシストのアルーン・ワデというメンバーですけど、アルーン・ワデとはどうやって知り合って、トリオをやることになったのですか?

「弟とはずっと一緒にやっていて、当時は違うベーシストとのトリオで演奏していました。でも、5年くらい前にドイツでライヴをやることになって、その前日にパリでリハーサルをやっていたんですけど、そのベーシストが急遽ドイツに行けなくなってしまって。それでたまたまパリで知り合ったアルーンに声をかけたんです。パリには、アフリカ出身のジャズ・ミュージックがたくさんいて、ぼくも彼らのプレイが好きだったし。そうしたら、彼のプレイが素晴らしくて、そのままレギュラーになりました(笑)」

Macintosh HD:Users:kusumoto:Downloads:HAR_0149.JPG

——​昨年リリースされた最新作『エル・ヴィアッへ』を聴くと、アフリカ音楽の要素も感じられます。これはアルーンの影響ですか?

「そうですね。アルーンがプレイすると、彼の色が出て、そこにはやっぱりアフリカ的なものも含まれています。そしてぼくも、彼のアプローチが好きだから、それをトリオの音楽に反映させています。彼は、キューバ人のベーシストにはない感覚を持っていますから」

——​ニュー・アルバムの予定はあるのですか?

「はい、12月にレコーディングして、来年の春にリリースする予定です。今回ベースはアルーンではなくて、Ángel Gastón Joya Perelladaという、チューチョ・ヴァルデスとやっていたベーシストと、弟とのトリオになります。アルーンはエレクトリック・ベースをプレイですけど、彼はアコースティック・ベースをプレイします」

——​今後、こういった活動をしていきたいなどといった、将来のプランニングはありますか?

「もっともっと、ピアノが上手くなりたいです。そしてもっと、世界中の人々に自分の演奏を知ってもらいたいです。それが今の自分の夢であり、目標ですね」




取材協力・写真提供/COTTON CLUB


Macintosh HD:private:var:folders:11:pd8l7n5x4gbb8nzlccqc5lgw0000gp:T:TemporaryItems:1007139890.jpg


http://www.kinginternational.co.jp/jazz/kkj-125/