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デンマーク発の高級オーディオメーカーとして有名なバング&オルフセン。ヤコブ・イェンセンをはじめとする外部プロダクトデザイナーを招聘してデザインされたオーディオは、18の製品がMoMAのパーマネントコレクションとして登録されている。こうした製品は、一般的なユーザーからすれば高嶺の花であるが、より身近な価格帯の“カジュアルライン”も存在する。B&O PLAYブランドのBeoplayシリーズである。そのフラッグシップモデルとなる最新ヘッドフォンを実際に使用し、その実力と魅力をここにリポートしたい。
デジタル時代の“大人のオーディオ”を求めて
今回紹介するのは、バング&オルフセンのヘッドフォン「Beoplay H9i」。今年2月に発売されたばかりのこの注目商品について、同社PR担当の阿部氏とセールスマネージャーの鈴木氏に話を聞いた。試聴をかねた取材のため、東京・銀座の同社ショールームにてインタビューを実施。
——バング&オルフセンといえば“洗練された大人のオーディオブランド”というイメージですが、ここ(銀座ショールーム)に来るお客さんも、そのような傾向があるのでしょうか?
鈴木 単なるオーディオとしてではなく、バング&オルフセンのインテリア性を重視して選んでいただくお客様が多いですね。特にハイエンドモデルになると、数百万円する製品がほとんどですので……。
——いわば、会社の社長さんとか、医者、実業家といった方々。
鈴木 その一方で、今回説明させていただくBeoplayは、より幅広い層にアプローチするカジュアルラインという位置付けです。
——なるほど。カジュアルラインが発足したのは最近ですか?
阿部 2012年から、バング&オルフセンのカジュアルラインとして「B&O PLAY」がローンチしました。コンペティター(競争相手)の多い価格帯のカジュアルラインではありますが、バング&オルフセンのデザイン哲学と音質面でのこだわりは、一切妥協していません。今回発売したばかりのBeoplay H9iも、実際に手に取って音を聴いていただければ、すぐに質感と音質の違いがお分かりいただけると思います。
——おっ、軽い! 耳にしたときの肌触りもしっとり柔らかで、圧迫感がほとんどありませんね。耳をすっぽりと覆いながらも、ヘッドフォンをしているストレスをほとんど感じません。あ! お二人の声が聞こえなくなってしまったようです(笑)。
鈴木 そうですね(笑)。電源を入れた時からノイズキャンセリングモードになります。お手持ちのiPhoneでお好きな音楽を再生してみてください。
音質のこだわりと充実した先端機能
早速、用意していたプレイリストから、ロバート・グラスパーの「Afro Blue」を再生。するとどうだろう、普段自宅で使用しているヘッドフォンよりも、明らかに奥行きが感じられ、キック音は優しく立体的。エリカ・バドゥの歌声も、よりクリアで輪郭がはっきりしている。他の楽器との分離が明確であることが実感できる。さすがフラッグシップモデル。ノイズキャンセリングの効果もあってか、この没入感はすごい!
——Beoplayの音質面は、具体的にどんな特徴があるのでしょうか?
鈴木 一言で表すなら“疲れない音”です。必要以上に低音を強調したり、ヴォーカルを際立たせたり、そうした人為的な操作を加えず、あくまでも人間の耳でいちばん心地良いと感じられる音を理想としています。
——なるほど。原音に忠実で、なおかつ疲れない音。そこは大切ですね。
鈴木 弊社のサウンドエンジニアも、数値だけではなく最終的には自分の耳でテストしているのはそのためです。こうした音質面におけるクオリティ管理はB&O PLAYだけではなく、バング&オルフセンブランド全体で一貫しています。
——そうした心地よさの追求は、装着感やデザインの面でも一貫していますね。
阿部 バング&オルフセンを代表する素材であるアルミニウムのパーツには、アルマイト加工(腐食や傷を低減する表面加工)を施しており、ヘッドバンドにはシボ感のあるカウレザーを、イヤークッションにはラムスキンを使用しています。
——硬質ながら、柔和な光沢の金属部。これにレザーの質感が美しくマッチしています。
阿部 感度の高い男性はもちろんですが、普段オーディオ機器に馴染みのない女性にもご好評をいただいているのは、誰にでも直感的に分かるラグジュアリーさがあるからだと考えています。
——音質やデザインもさることながら、操作性や機能面にも心地よさの追求が詰まっていますね。
阿部 はい。音質面での進化はもちろんですが、連続再生時間もさらに向上しています。家のどの部屋に移動しても、ずっとお気に入りの音楽に没頭できますし、会話をしたい時には音楽とノイズキャンセリング機能を、ワンタッチで停止(トランスペアレンシーモード)することができます。
——あ、イヤーカップのロゴ部分に触るだけで、切り替わるんですね!
阿部 わざわざヘッドフォンを外すこともなく瞬時に切り替わるので、人の声やテレビの音声を聞き逃すこともありません。また、PCとモバイルなど、2台のデバイスを同時接続したまま対応可能な「デュアルュルデバイス接続」も便利な新機能です。
こんな便利な機能があるとは本当に驚き。わざわざデバイスを操作することなく、ヘッドフォンを外したら自動的に音が止まり、耳に当てると再生が始まる(プロキシミティセンサー)機能も非常に便利。そして会話したい時には、右側のハウジングにあるパネルを指で上下するだけ。
そこでもう1曲、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』から「So What」を再生。 9分弱ある楽曲の中盤に位置する“コルトレーンのソロ部分”だけ聴いてみたい。そんなときでも、曲の先送りと巻き戻しは、やはり左右にパネルをタッチするだけ。円を描くように指をなぞれば、音量の調整ができるのだ! その都度ボタンを押すことなしに、タッチコントロールでほとんどの操作が可能。ちょっとしたコツが必要だが、こんなものはすぐ慣れる。
さらに、普段からよく聴いているスティーリー・ダン「PEG」で音質面を再度チェック。うーん、そもそもハイファイな音源というイメージがあるが、さらにクリアで広がりがある印象を受ける。いつも自宅で使っているヘッドフォンはそれほど悪くはないと思っていたのだが、完全な“実力の差”を思い知らされた……。
ワイヤレス&ネットワーク化に備えて
——いまや、多くのオーディオ機器がワイヤレス化して、同時に“スマホやタブレットで音楽を聴く”ことが主流になりつつある。こうした状況下で、どれだけ快適かつ高音質に音楽を楽しめるか? は大きなポイントですね。
鈴木 おっしゃる通りです。以前は、Bluetoothの技術的な限界や圧縮音源特有の音質劣化があったので「ワイヤレスなんてあり得ない!」という意見がほとんどでした。でも、そうした問題点をクリアする規格が次々と登場し、やっといまワイヤレスで高音質を楽しむタイミングに移行しつつあると思います。
——カジュアルライン「B&O PLAY」は、そういったリスニング環境をきちんと意識したシリーズでもあるんですね。
阿部 はい。実際に体験していただければ、今まで使っていたオーディオとは明らかに違うことがお分かりいただけると自負しております。また、単なるオーディオ機器ではなく、普段持ち歩くことで高揚感をもたらし、気持ちよく音楽を楽しむ体験をお届けしたいと考えています。
レザーとアルミパーツがもたらす高級感。無駄な装飾を一切省いたデザイン。長年培ってきたオーディオブランドの実力が揃ったヘッドフォンは、フラッグシップモデルと呼ぶに相応しいものであった。また、重さや圧迫感を感じさせないフィット感も特筆すべき点。長時間のリスニンング時間と相まって、飛行機での移動時に是非とも使いたいと思わせてくれた。もちろん、オフィスや自宅でとっておきの音楽にどっぷり浸かるのにも最高だろう。ワイヤレスの利便性を最大限に活かし、デジタル音源に最適化されたヘッドフォンの選択肢として、このBeoplay H9iの登場は全ての音楽ファンの注目に値する。
SPEC
ヘッドフォンタイプ:ワイヤレスオーバーイヤー 寸法:195×200×52mm 重量:285g バッテリー:BluetoothおよびANC(アクティブ・ノイズ・キャンセイリング)使用で連続再生最高18時間、Bluetooth使用で連続再生最高23時間 接続:Bluetooth4.2、AACコーデック、3.5mmミニジャック付きオーディオケーブル、マイク:デジタルMEMS声マイク2本 機能:トランスペアレンシーモード、プロキシミティセンサー、デュアルデバイス接続
実際に体感できます!今回の取材に訪れた
「バング&オルフセン銀座ショールーム」
東京都中央区銀座4丁目3-13 和光並木通りビル5F
営業時間10:30-19:00 水曜定休 ☎03-6228-7780
http://stores.bang-olufsen.com/japan/bang-olufsen-ginza