フランスの現代音楽家であり、電子音楽の一分野「ミュージック・コンクレート」の先駆者ピエール・アンリの訃報が仏『ル・モンド』紙によって報じられた。享年89歳。死因は発表されていない。
パリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)でピアノやパーカッションを学んだピエール・アンリは、ピエール・シェフェールとともに自然音や環境音を電子加工した手法「ミュージック・コンクレート(具体音楽)」の先駆者として知られている。1950年代には人体の音を利用したマルチパート作品『Symphonie pour un homme seul』をシェフェールと共同で発表している。
生涯で30以上の映画や舞台音楽を手掛けており、商業映画や舞台に初めてミュージック・コンクレート作品を用いた作曲家としても知られている。スプーキー・トゥースやヴァイオレント・ファムズなどのロック・グループともコラボレーションを行ってきた。
また、1997年には彼がエレクトロニック・ミュージックに与えた功績を称え、ファットボーイ・スリムやコールドカット、ウィリアム・オービットらがリミックスを手掛けた『Metamorphosé: Messe Pour Le Temps Présent』がリリースされた。