米ニューヨークの老舗ジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」の現オーナー、ロレイン・ゴードンが現地時間6月9日(土)に亡くなった。95歳だった。
同クラブのマネージャーの談話によると、死因は脳卒中との合併症によるものだったという。
ブルーノート・レコードの創立者アルフレッド・ライオン、そしてヴィレッジ・ヴァンガードの初代オーナー、マックス・ゴードンの元妻であるロレイン。夫マックス亡きあともヴィレッジ・ヴァンガードのオーナーを引き継ぎ、今日まで同店の経営に貢献してきた。
生前のインタビューでロレインは「私はヴィレッジ・ヴァンガードのために生きてきたわけじゃない。自分が愛するものにこだわってきただけなの。私はミュージシャンでもシンガーでも絵描きでもないけど、自分が愛した音楽を追い求める。それが私なりのアートなの」と語っている。
また、セロニアス・モンクを前夫のアルフレッド・ライオンに引き合わせ、マックスに掛け合ってヴィレッジ・ヴァンガードへ出演させるなど、モンクのデビューに奔走したことでも知られるロレイン。
2015年に刊行された自身の自伝書『ジャズ・レディ・イン・ニューヨーク ブルーノート・レコードのファースト・レディからヴィレッジ・ヴァンガードの女主人へ』では、モンクとの出会いを以下のように記している。
「モンクの選ぶ音は少々外れているようでしたが、彼は恐るべきハーモニー感覚や特異なリズム感、独自の音楽構成力で最後は辻褄を合わせてしまいます。すべてがどこまでも彼自身のもので、完璧でありながら規格外です。でも、セロニアス・モンクを私は理解しました。どんな時にも。モンクは新しい真実だった」