ポーランド・ジャズ界を代表するトランペッター、トーマス・スタンコが、7月29日(日)にポーランド・ワルシャワで亡くなった。76歳だった。死因はかねてより患っていたという肺癌と肺炎によるものだったという。
1942年にポーランド・ジェシェフで生まれたトーマスは、旧ソビエト連邦の共産主義の下で育ち、ラジオから流れるアメリカのジャズや、学生時代に観たデイヴ・ブルーベックのコンサートに感銘を受けジャズの道へ。
マイルス・デイビスやチェット・ベイカーから多大な影響を受け、ジャック・ディジョネットとデイヴ・ホランドとの共演を経て世界的な認知度を獲得していった。その後も独レーベル「ECM」などから数々の作品を発表。
今回の訃報を受け、デイヴ・ホランドは「トーマスはユニークなミュージシャンで深い感性と穏やかな魂を持った男でした」とコメント。
また、2015年に米「THE JAZZ BARKERY」に出演時にトーマスの写真を撮影した英写真家ウィリアム・エリスは、「当時トーマスは《僕にとってすべての人生は『Kind of Blue』だよ》(マイルス・デイビスのアルバム)と語っていたね」と説明している。