シンガーのナンシー・ウィルソンが、12月13日(木)に故郷の米カリフォルニア州パイオニアータウンの自宅で亡くなったことが伝えられた。81歳だった。死因の詳細は発表されていないが、彼女のマネージャーの声明によると「ナンシーは長い間病を患っていた」という。
1937年、米カリフォルニア州パイオニアータウンに生まれたナンシー・ウィルソンは、10代で音楽の道に進み、15歳(高校在学中)の時に米オハイオ州のローカル・テレビ主催のタレント・コンテストで優勝。
米キャピトル・レコードとの契約を機にニューヨークへと移住し、1965年にはデビュー作『Like in Love』を発表。シングル「(You Don’t Know) How Glad I Am」では、グラミー賞3部門を受賞した。
生前「私はソング・スタリストで歌いたいと思った曲を歌うの」とも語ったナンシーは、70年代にはR&Bやファンクの世界でも活躍。2004年のインタビューでは「私が何を歌うかに、キャピトル・レコードは一度も口を出さなかったわ。私を“別の誰か”に仕立てるような人は誰もいなかったのよ」と語っている。
また公民権運動にも積極的に関わり、1993年には非暴力社会のための「Martin Luther King Jr. Center」にその功績が認められ、1998年には「NAACP(全米黒人地位向上協会)」から「Hall of Fame Image Award」を受賞している。
彼女はこれまで70作以上のアルバムを発表しており、生前最後の作品は、グラミー賞「最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞」を受賞した2006年のアルバム『Turned to Blue』となった。