【インタビュー余禄】イスラエル・ジャズミュージシャン8人の秘話公開！

Haggai Cohen–Milo ／ ハガイ・コーエン・ミロ（Bass）

Q１． あなたの両親について教えてください。

僕の家族は同年代のみんなと同じく、いろいろな国をルーツに持つミックスなんだ。父の両親はイラク出身で、母の両親はオーストリアとドイツの出身だけど、父も母も僕と同じくイスラエルの生まれ。最近知ったんだけど、イラク出身の僕の祖父はイスラエルに来る前はドラマーだったらしい。でも、僕を除いたそれ以外の家族に音楽家はいない。母は理学療法士で自閉症の子どもたちのリサーチなどをしていて、父は自然食品店のマネージャーだった。ふたりとも音楽のバックグラウンドは無いけれど、僕の音楽に対する情熱やクリエイティビティをいつも応援してくれていた。僕がアップライト・ベースを始めたのは父がキッカケだけど、それはまったく別の話だね。

Q2. 子どもの頃に好きだった音楽を教えてください。

初めて手にしたレコードは、11歳の時に買ったニルヴァーナの『Smells Like Teen Spirit』だね。長いことロックやパンク、ヘビーメタルを聴いていたよ。ジャズに出会ったのはヘビーメタルを通してなんだ。アリス・イン・チェインやドリーム・シアターなんかのプログレッシブ・ロックにのめり込んで、そこからフュージョン音楽に辿り着いた（たくさんの共通点があったからね）。フュージョンとジャズも、遠からず近からずな音楽だったし。初めて行ったジャズ・コンサートはスタンリー・クラークのテル・アビブ公演で、以来彼は僕のアイドルのひとりなんだ。

Q3. 好きなクラシックの作曲家は？

ひとりに絞るのはすごく難しいね。 昔、イスラエルの少年少女フィルハーモニー交響楽団にいたんだけど、そこではモーツァルトやストラヴィンスキー、バルトークやシェーンベルクなど、たくさんのクラシック楽曲をプレイした。彼らの音楽は大好きで、僕の音楽はある意味でバッハとバルトークから多大な影響を受けている。ほかにも、テリー・ライリーやジョン・ケージなど、21世紀のポスト・モダンな作曲家たちの作品を聴くのも好きで、彼らはこの数年における僕の音楽的成長に大きな影響を及ぼしてくれた。

Q4. 修行時代のニューヨークで起きたトラブル、苦い思い出などがあれば教えてください。

初めてアメリカに渡ったとき、新しい土地や文化に慣れることに大きなショックを受けたんだ。「僕はここで何ができる？これは本当に僕が選択したものか？」ってね。家族や友人たちが本当に恋しくて、何度も帰ろうかと考えたよ。最終的には音楽を演奏することが僕を支えてくれて、ジャズの演奏家たちに引き会わせてくれて、言葉はなくとも彼らと会話することができた。すぐに溶け込むことができたのは、僕にとってすごく大きなことだった。コミュニティは誰かを探し、また誰かにしてくれるところだね。

Q5. ニューヨークのお気に入りカフェや、世界各国でのお気に入りジャズクラブを教えてください。

僕はよく、大のコーヒー好きと言われるんだ。近年のニューヨークにはコーヒー文化の大きな波がきている。たくさんのマイクロ・ロースターや、美しいコーヒー・ショップがマンハッタンやブルックリン中にあるんだ。なかでもお気に入りは『Abraco Espresso』、『Blue Bottle』、『Toby’s Estate』だね。でも、世界で一番好きなのはドイツ・ミュンヘンにある『Man Versus Machine』で、ミュンヘン近郊でプレイするときは必ず訪れる店だよ。

Q6. 尊敬する人物や影響を受けたアーティストを教えてください。

僕のファースト・アルバムでは、昔のユダヤの詩「From all my teachers I have grown wise（多くの師からのお陰で、私は賢く成長した）」を引用したんだ。この意味は、英知はたくさんの人の中に見つけられる。あなたが心を開けば、思いもよらぬところで偉大なものを授かるというものなんだ。けど僕は、先生たちからの教えと同じくらい、仲間たちから学んだし、映画やダンス、ビジュアル・アート、哲学や文学からも、レコードと同じくらい学んだんだ。

（以後、無回答）

イスラエル・ジャズミュージシャン、その他の回答者
Avishai Cohen（アヴィシャイ・コーエン）
Daniel Zamir（ダニエル・ザミール）
Eli Degibri（エリ・デジブリ）
Gilad Hekselman（ギラッド・ヘクセルマン）
Oz Noy（オズ・ノイ）
Shai Maestro（シャイ・マエストロ）
Yotam Silberstein（ヨタム・シルバースタイン）