近年、若者を中心に盛り上がるロンドンの新興ジャズシーンにおいて、特筆すべきは女性の活躍。多くの女性俊英プレーヤー/バンドを輩出する同シーンで、特に注目を集めるのがKOKOROKO(ココロコ)だ。
リーダーのシーラ・モーリスグレイ(tp)を筆頭に、キャシー・キノシ(sax)、リッチー・シーヴライト(tb)の女性3人をフロントに据えた布陣が特徴的なこのバンド。本作は、そんな彼らの記念すべきデビューEPとなる。
ジャズや西アフリカ音楽などのさまざまな要素がブレンドされた本作。現ロンドン・シーンの自由なスタンスを体現したかのような内容で、“聴けて踊れる”、これからの季節にピッタリな気持ちの良い一枚だ。
収録曲は決して多くはないが、名刺代わりには十分な内容。作品タイトルにバンド名を冠しているところも「これがココロコだ!」という意味合いが込められているのかも。
ココロコといえば、ジャイルス・ピーターソン監修による昨年の話題作『We Out Here』でラストを飾ったバンド。これまで同作以外で目立ったリリースはほとんど無く、イギリス以外での注目度は今ひとつな印象だったが、今回のEP発表をきっかけに、メディア露出も増えてきているようだ。
男女混合で編成される彼らは、メンバーそれぞれがシーンにその名を馳せる凄腕集団という側面も。キャシー・キノシ(sax)は、自身のプロジェクト「シード・アンサンブル」を主導し、先日アルバムを発表したばかり。また、今回のEPでも存在感を放つギタリストのオスカー・ジェロームも、昨年自身のソロ作を発表している。
各アーティストが、それぞれ複数のバンドやプロジェクトに所属し、互いが互いのバンドを支え合っている点も、現ロンドン・シーンの面白いところだ。