投稿日 : 2019.04.23 更新日 : 2022.10.07

驚きの音と存在感! 斬新フォルムの“有機ガラス”スピーカー登場【ソニー/LSPX-S2】

取材・文/岡部直人

気になるオーディオ新製品

知っている人ならいざ知らず、初見では誰もこれがスピーカーだなんて気付かないだろう。ソニー独自の技術(注1)をたっぷり盛り込んだ “ソニーらしさ” あふれるグラスサウンドスピーカー。その最新モデルが「LSPX-S2」だ。

注1:有機ガラス管型トゥイーター(=振動板)や、スピーカー駆動技術アドバンスド バーティカル ドライブ テクノロジー」などを搭載。

インテリア性もポータブル性も◎

まず目を惹くのは、その外観。どこかノスタルジックな燃料式ランプを思わせる雰囲気である。サイズ(高さ)は約27センチ、重さは約1キロなので、おおよそ“ビールの中瓶”くらいのイメージだろうか。バッテリー駆動にも対応しているので、部屋から部屋へ、家庭内モバイル使用の自由度も高い。

バッテリー駆動は約8時間。耐水性は備えていないが、自宅の庭やベランダ、ゆるいキャンプなど、アウトドアで鳴らしてみるのも楽しい。ちなみに有機ガラスは、いわゆるガラスのコップなどとは違うプラスチック製。うっかり倒しても、破片が飛び散るようなことはないので安心だ。

そして肝心の「音」である。有機ガラス管の端面を加振する(=叩く)原理で生み出される“クリア&リアルなサウンド”は、本機最大の特徴。その音は、円筒全体から360度の全方向に放射され、まるで音楽に包まれるような気分だ。音が鳴っている空間に一歩足を踏み入れてさえ「どこから聞こえてくるのだろう?」という、不思議なリスニング体験へと誘ってくれる。

「キャンドルライト」で卓上を演出

本機のもうひとつのお愉しみは、光の演出。2段階で調整可能な「キャンドルライトモード」が搭載されており、文字通り、テーブルランプとしても存在感を発揮。スピーカー然とした圧迫感もないので、料理が並ぶ食卓にも自然にとけ込むのだ。

もちろん、音を出さずにキャンドルライトのみの使用も可能なので、“癒しの灯り”として、また屋内の常夜灯としても使用できそう。グラスサウンドスピーカー独特の澄んだ柔らかいサウンドとキメ細かい調光機能、ベッドルームに置けば良い夢を見ることができそうだ。

 

前モデルと比較すると…

2016年に発売された前モデル「LSPX-S1」(右)は、ほぼストレートな1本の円筒状のフォルム。一方、最新モデルの「LSPX-S2」(左)は、ガラス部分がシェイプされコンパクトに。

前モデルと比較して、もっとも大きな違いは、パッシブラジエーター(注2)のレイアウトだ。本機「LSPX-S2」は本体の底面にパッシブラジエーターを配置することで、コンパクト化を図りつつクリアで豊かな低音再生を実現している。

注2:パッシブラジエーター:スピーカーユニットから電磁気回路を取り除き、スピーカー筐体内の空気振動を利用して動作させるスピーカーユニットのこと

 見た目の印象だと「高音域は良さ気だが低音域は期待薄…」と感じるかもしれないが、これがなかなかどうして。低音もしっかりと効いている。これはまさに(前出の)本体底面に備えたパッシブラジエーター効果。再生される低域は、非常に明瞭で、中、高音域とも濃密に繋がっているかのような印象だ。倍音豊かなアコースティック楽器の響きや、女性ボーカルの艶が映える、バランスの良いサウンドを奏でてくれる。

アプリで低音設定&最大10台の増設可!

こうした低音は、スマートフォンアプリ「Music Center」からも制御可能なので、筐体に触れることなく(定位置で音の様子を伺いながら)設定できるのも魅力。ひとつのスピーカーユニットで、奥行きや高さまで感じさせる立体的なサウンド構築を実現。さらに、独自の音響構造&高音質技術で、ハイレゾ音源を鳴らし切ってくれるのも、音質重視派へのアピールポイントだ。

ちなみに音質だけでなく、“便利”にも余念がない。Wi-Fiで最大10台までの接続も可能なので、家屋内の各部屋に設置したり、広大なフロアに複数機を配置して“音空間をデザイン”するのも面白い。つまり、個人宅での使用はもちろん、店舗やイベント会場などでも、その実力を発揮しそう。

また、ストリーミング派には、直接Spotifyに接続できる「Spotify Connect」(注3)に対応したことも見逃せないパワーアップポイントだろう。

注3:Spotify Connect:オーディオ機器がWi-Fiを通じて直接Spotifyに接続する機能の名称。下記、八分音符のマーク(♫)を押して「プッシュ&プレイ機能」を起動させるとSpotifyにボタンひとつでつながる。

本体の底面部
 

2008年、当時100万円という価格で登場した「Sountina=サウンティーナ」。そこから大幅なサイズ&プライスダウンを実現した「LSPX-S1」を経て、ここまでカジュアルに付き合えるようになったグラスサウンドスピーカー。静かに聴き入るのはもちろん、ながら聴きでも、インテリアのアクセントとしても、多様なシーンやシチュエーションにも似合う、そんなフレキシブルなスピーカーへと進化を遂げたようだ。

ソニー:グラスサウンドスピーカー「LSPX-S2」
https://www.sony.jp/active-speaker/products/LSPX-S2/