投稿日 : 2017.11.29 更新日 : 2018.01.25

モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2017 DAY2 レポート

取材・文/富山英三郎 写真/太田功二, 内田遊帆, Taiki Murayama

モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2017 DAY2

2日目の始まりは、ラウンジから流れる音楽を楽しみながらテタンジェ(シャンパーニュ)で乾杯。多くの人が、これから始まる音楽漬けの一日に向けて準備運動を始めている。

メインステージのトップバッターは、14歳ながら世界中で賞賛されているバリ島生まれのピアニスト、ジョーイ・アレキサンダー率いるトリオ。デビュー・アルバム『My Favorite Things』が、第58回グラミー賞の「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞」と「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・ソロ賞」の2部門にて最年少ノミネートするなど、プレイヤーとしてのみならず音楽家としての才能も秀でているだけに客席の期待もMAX。

いざ始まってみると、年齢を感じさせない至極のプレイ。ベースのダニエル・トーマス、ドラムスのユリシス・オーエンス・ジュニアとの駆け引きも素晴らしく、ジャズ本来が持つ楽しさや、阿吽の呼吸から生まれるグルーヴに酔いしれた。後半に向けてどんどんと白熱するプレイを観せ、アンコールでは『COUNT DOEN』に収録されている『サンデーワルツ』をしっとりと聴かせて1時間のステージを終えた。

続いて登場したのは、菊地成孔 with アクセル・トスカ プロジェクト。キューバに生まれ、現在はNYを中心に活動するアクセル・トスカは、ドキュメンタリー映画『Cu-Bop』のメインアーティストとして取り上げられ、その圧巻のプレイで話題になったピアニストだ。

バンドメンバーは、菊地成孔ダブ・セクステットから、類家心平(トランペット)、鈴木正人(ベース)。そしてドラムスには秋元修という編成。この組み合わせは二度と見られない可能性が高い貴重なものとなった。彼らの演奏がスタートするや否や、いっきにアクセル全開。複雑ながら心地良く、そしてスリリングな展開に心も身体も踊り出す。30分近くいっきにプレイしたのち、アクセル・トスカ、鈴木正人、秋元修によるトリオ編成での演奏も披露。その後も迫力のプレイで駆け抜け、あっという間の1時間が過ぎていった。

菊地成孔 with アクセル・トスカ プロジェクトの興奮が覚めやまぬままラウンジに出ると、Tori Kellyのギタリストであり、次世代を担う若手スーパーギタリストのマテウス・アサトのサウンドが鳴り響く。超絶のギターテクニックから導かれる音色に、誰もが圧巻された。そしていよいよ、メインステージに“あの人”が登場。

メインステージのトリを務めるのは、御年77歳の伝説的サックス奏者ファラオ・サンダースのカルテット。脇をかためるのは、ピアノにウィリアム・ヘンダーソン、ベースはナット・リーブス、そしてドラムスはマーカス・ギルモア。舞台中央までの歩みはゆっくりだが、いざサックスを口に咥えた瞬間にその音色は驚くほど豊かで多彩。聴く人それぞれの心にさまざまな感情を溢れ出させるプレイはさすがの一言。また、自分のパートを終えると、またゆっくりした歩みで後方へと捌ける様子は愛らしく、演奏とのギャップも相まって後世に語り継がれるであろう名演となった。