投稿日 : 2019.09.11 更新日 : 2019.12.03
【review】捨て曲ナシ! LA発の男女トリオ、ムーンチャイルドの傑作
- タイトル
- Little Ghost
- アーティスト
- ムーンチャイルド
- レーベル
- Tru Thoughts
- 価格
- 2,200 +tax
- 発売日
- 2019.09.05
ジャズ・ファンからR&Bリスナーまでをも魅了するLA出身の男女混合トリオ、ムーンチャイルド。本作『Little Ghost』は、彼らの通算4作目となる最新アルバムだ。
良質な作品で、これまでスティーヴィー・ワンダー、カマシ・ワシントン、ロバート・グラスパーといった数々の大物たちをも唸らせてきたという彼らのサウンド。「どんなものか」と聴いてみると、その理由に激しく納得させられる。
メロウでささやくようなアンバー・ナヴラン(vo)の美しい歌声、ドリーミーな電子ピアノと腹に響く低音。上げず下げずの絶妙なテンション感、ほどよくレイドバックした心地いいグルーヴ。これに浸って油断していると、あっという間にラストまで聴き切ってしまう…。ひと言で、捨て曲なしの傑作だ!
アンドリス・マットソン(写真左)、アンバー・ナヴラン(写真中央)、マックス・ブリック(写真右)の3人からなるムーンチャイルドは、南カリフォルニア大学のジャズ・スクールで結成。メンバー全員が複数の楽器を操るマルチ・プレイヤーで、本作に登場する数々の楽器も彼ら自身の演奏によるものだとか。
彼らは、2012年の『Be Free』でアルバム・デビュー。これを機に口コミやSNSで評判が広がり、ジル・スコットやジェイムズ・ポイザー(ザ・ルーツ)ら大物たちの耳にも届き、続く『Please Rewind』(2014年)、『Voyager』(2017年)で人気・知名度はさらに加速。今では現LAシーンの顔役のひとつに数えられるほどに。
前作から2年ぶりのリリースとなる本作は、メンバー全員で、米カリフォルニア州の湖・レイク・アローヘッドの小屋に篭って制作。たしかに、作品全体から連想するイメージは、都会的なものよりも自然の情景の方がしっくりくる。静かな水面、森や山の木々、満天の夜空、彼らの過ごした環境が音に溶け込んでいるのかのようだ。ちょうど、この映像のように。
これは収録曲「What You’re Doing」のミュージック・ビデオ。山から街へ、街から夜空へ、夜空から水面へ。まるで本作のイメージを具現化したかのような内容だ。「こんな情景の中で作ったのかな…」と思いにふけりながら聴いてみると、また違った一面が見えてくるかもしれない。
一日の終わりのリラックス・タイムや、雰囲気を演出したい夜にはバツグンの仕事をしてくれそうな一枚。できればイヤホンやヘッドホンでなく、スピーカーから鳴らして聴くことをオススメします。
トラックリスト
01. Wise Women
02. Too Much to Ask
03. The Other Side
04. Sweet Love
05. Strength
06. Everything I Need
07. Money
08. Nova
09. Get To Know It
10. What You’re Doing
11. Come Over
12. Onto Me
13. Whistling
14. Still Wonder
15. Everything I Need (Instrumental) [Bonus Track for Japan (BRC-612)]