2002年の『ブギ・ウギ・クリスマス』、2006年の『ディグ・ザット・クレイジー・クリスマス』に続き、ブライアン・セッツァー・オーケストラのクリスマス・アルバムは本作で3枚目になる。当然、聴く耳は厳しくなるが…なるほど、今回はこれを持ってきたか。
アルバムを印象づけているのは、アニメ「原始家族フリントストーン」のテーマ曲「Yabba-Dabba Yuletide」だ。この曲のカバーには実写映画版のテーマ曲となったThe B-52’sバージョン(正確にはThe B.C. 52’s)もあったが、The B-52’sがサンプリングを駆使した90年代式のメガミックス手法だったのに対し、セッツァーは1960年リリースのオリジナル・ビッグバンド・サウンドを見事に自分のものにした。「ヤバダバドゥー!」の掛け声がないのは残念だが。
他にも「Rockabilly Rudolph」での007へのオマージュ、「Here Comes Santa Claus」でのセッツァーのルーツともいえるブギウギ・ピアノとネオ・ロカビリー・アレンジなど、音楽好きを唸らせる仕掛けが一杯だ。悲しい出来事が多かった2015年、せめて聖夜だけでもこの一枚で幸せに過ごしたい。