投稿日 : 2015.11.13 更新日 : 2018.01.11

ベニー・シングス『STUDIO』

文/定成寛

タイトル
STUDIO
アーティスト
ベニー・シングス
レーベル
Victor Entertainment
発売日
2015.11.18

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まるで80年代初頭のヨーロピアン・テクノのようなキッチュなサウンドがスタートと同時に飛び出してくる。The MO、シャグラン・ダムールといった名前を思い出す。しかし単なるレトロ・ポップの焼き直しではない。聴き進めるうちに「My Favourite Game」ではスティーリー・ダンに通じるポップ・センスが、「Shoebox Money」ではベニーが敬愛するバート・バカラックを思わせる深いメロディが滲み出してくる。
しかし全体を通じて印象に残るのはミスター・フィンガーズやフランキー・ナックルズが90年代初頭に確立したサイレントなハウスのテイストだ。キッチュに思えたストリングスやヴォコーダーも、実はハウス以降のデッド感を持つ。つまりここには80年代テクノ的なキッチュさと、90年代ハウス的なサイレント感のハイブリッドがあり、それが2015年のいまリバイバルを超えた形で表現されているのだ。2003年『Champagne People』でのアルバム・デビュー時はオランダのローカル・シンガー・ソングライターだったが、2005年のセカンド・アルバム『I Love You (Live At The Bimhuis)』以降は全世界リリースとなり本作がフルアルバムとしては4作目。ポップ・マエストロの真価が問われる1枚となるだろう。

トラックリスト

1.Straight Lines
2.My Favourite Game
3.Whose Fault
4.Start(Part I)
5.The Beach House
6.You and Me feat. GoldLink
7.Don’t Make Me Dance
8.Black and Blue
9.Shoebox Money feat. Mayer Hawthorne
10.One of These Hearts
11.Push Me Away
12.Real Love
13.Meet me outside