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フローティング・ポインツ『Elaenia』

2000年代後半より先鋭的なクラブ・トラックをリリースしてきたロンドンの鬼才、フローティング・ポインツことサム・シェパード。おもにDJ/ダンス・サウンドの側面でとらえられてきたが、実際のシェパードはジャズやクラシックの素養があり、出身地のマンチェスターでは教会の聖歌隊で歌い、現代音楽やアンビエントの影響も受けてきた。エレクトロニック・ジャズを追求したEP大作『Shadows』(2011年)や、フローティング・ポインツ・アンサンブルを率いてのクラシック的なアプローチには、そんな彼の幅広い音楽性や実験性が露わになっていたが、それを発展・深化させたのが本ファースト・アルバムである。全体にはアンビエントなテイストの強いエレクトロニック・ジャズ作品で、自身はキーボードやシンセからヴィブラフォン、マリンバまで演奏し、周囲のミュージシャンやストリングス、コーラス隊とのセッションとなる。3部構成の大作「Silhouettes」のように、近年の彼が強く関心を寄せるブラジル音楽からの影響も見逃せない。ジャケットのアートワークやPVには、自作のハーモノグラフを収録曲と同期させて描いたドローイング・アートを用いるなど、一種の総合芸術としてもとらえられるアルバムだ。

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