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レオノーレ・ブーランジェ『Square Ouh la la』

ベルギーのレーベル、Le Sauleが面白い。とても小さなコミュニティですが、プロモーション・ビデオをシガー・ロス、R.E.M.といったアーティストを手がけていたヴィンセント・ムーンが録っていたりします。このLe Sauleは、欧州最古のインディペンデント・レーベルであるフランスのSaravahの影響を受けているのではないでしょうか。
Le Sauleでも一際異才を放っているのが、今作の女性ボーカリスト、レオノーレ・ブーランジェ。朗読調の歌声は、シャンソンの新しい流れなのではないでしょうか。そして、ボーカルとともに特徴的なのは、レーベルメイトでもあるジャン・ダニエル・ボッタが操るさまざまな民族楽器です。モロッコの伝統音楽グナワで使われるゲンブリやイランやアゼルバイジャン伝統楽器といった非西洋楽器の音色がところどころに隠され、そこに潜む土着性とミニマルな音色のイメージに時間感覚を外され、3~4分の楽曲ながら他では味わえぬ不思議な浮遊感とトリップ感を味わえます。本作は1912年に出版されたカンディンスキーについての書籍にインスパイアされたとされ、仏語の他にドイツ語と彼女の創作の言語で歌われているという、しっぽを掴ませないようなコンセプト。先述のSaravahに所属していたブリジット・フォンテーヌの佇まいも思い起こされます。

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