ジャズやR&B、ソウルをルーツとする女性ヴォーカルは、半ば定期的に(?)登場する。エイミー・ワインハウスやエリカ・バドゥなど世代を問わず強く支持されるアーティストもいれば、体裁は非常に整っており、アーティスト側も売る気満々だが、なんとも火がつかない、支持を得られない者もいる。理由は簡単、歌声とヴォーカルに魅力がなく、猥雑さに欠けるのだ。
本作で日本デビューを飾るこのアリーシャ・ブリラは前者になるだろう。「いいな。これは」と思わずニヤリとしてしまう渋みのある歌声、そしてただ上手いだけではないヴォーカル。これは繰り返し聴きたくなる。スカ風の「イミグラント」で始まり、70年代ソウルに超オールド・スクールな初期のラップをミックスしたような「レット・ミー・ラヴ・ユー」など、クラシック・ロック・ファンを惹きつけるサウンドが全編に満ちている。「レスキュー」の女性コーラスはローラ・ニーロの歴史的名盤『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』(1971年)へのオマージュか。プロデューサーは一体誰が…と見てみるとなんとセルフ・プロデュース。年齢が公開されていないのはご愛嬌だが、恐ろしい才能の登場だ。
■オフィシャルサイト
http://alyshabrilla.com/