オハイオ州クリーブランドの電子音響バンド“エメラルズ”のギタリストとしても活動していたマーク・マグワイアの、2年ぶりとなるフル・ソロ・アルバム。ギターはもちろん、ベース、ピアノ、シンセサイザー、リズム・プログラミング、そしてボーカルといったすべてのサウンドを彼自身がクリエイトし、アメリカ各地でレコーディングされたという。全体的にエレクトロ・ポップの香りを漂わせつつも、時にノイジーで時にグルーヴィーなギター、アンビエントな空気感、ダンサブルなビート、アバンギャルドなアプローチなどが次々に現われては消え、有機的に交錯し、独特の世界観を創りあげていく。その自由な発想とスケールの大きなサウンド、そしてドラマティックな展開は、その豊かな才能が見事に表現されているといえるだろう。決して音を詰め込みすぎることなく、必要最小限の音数で、最大限の世界を構築するセンスはさすがだ。マーク・マグワイヤというアーティストが今見ている風景をそのまま音にしたような、聴き手のイマジネーションをチクチクと刺激してくれるアルバムだ。“21世紀のマイク・オールドフィールド”なんていう言葉がふと思い浮かんだけど、わかる人、いるかな?
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