オールマン・ブラザーズ・バンドのオリジナル・メンバー、ブッチ・トラックスの甥で、再結成したオールマンのギタリストだったデレク・トラックスと、その妻スーザン・テデスキによる12人編成バンドの新譜。サザン・ロックは生きている、いや、進化を続けていると確信させる傑作だ。
このアルバムには伝統と革新の両方がある。例えば「ジャスト・アズ・ストレンジ」。メロディ・ラインやフォーマットは南部のマディなブルーズを見事に受け継ぎ、ブラス・アレンジやキーボード、美しいコーラスは伝統を踏まえた革新に溢れている。
サザン・ロック、ブルーズ・ロックにオマージュを捧げ、そのエッセンスを取り入れる若手バンドは多いが、サザン・ロック側からのアプローチも聴き逃すべきではない。アルバム後半で光り輝く「ヒア・ミー」など、すべてのロック・ファンの心を掴む名曲の誕生という気すらしてくる。米国音楽の底力にノックアウトされる悔しい一枚。
■Universal Music
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