2012年より続くMitsu the Beatsによるインストアルバムシリーズの第3弾は、タイトルの通りエレクロトリックピアノの名器“フェンダー・ローズ”をテーマにしたもの。これまでも同様のテーマのミックスCDもリリースしているほか、彼自身のプロデュース作やソロ作でもフェンダー・ローズのサンプリングは数多く使用されており、ある意味、ローズはMitsu the Beatsのシグネチャー・サウンドとも呼べる存在でもある。
ジャズやソウルなど、幅広いジャンルで長年用いられてきたローズだが、Mitsu the Beatsの作り出すループの中でさまざまな表情を見せる。美しいリラックスしたメロディーを聴かせたと思えば、ときには緊張感さえも漂わせるようなディープなサウンドが脳を直撃する。この楽器としての表現力の豊かさこそ、彼がローズを愛する理由でもあり、このサウンドに刺激されてあふれ出るクリエイティビティの結果、本作が生まれたことは容易に想像できる。
インストのヒップホップアルバムとして100%完成されている本作ではあるが、一方でラップや歌が乗ったバージョンも聴いてみたいという、少々欲張りな意見も最後に付け加えておきたい。
■JAZZY SPORT
http://www.jazzysport.com/