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ビル・フリゼール『星に願いを』

2011年の『All We Are Saying』ではジョン・レノン、2014年の『Guitar In The Space Age!』では60年代のエレキ・サウンドにオマージュを捧げたフリゼール。この新作は007あり、西部劇ありの往年の映画・TV音楽集だ。日本を舞台にした「007は二度死ぬ」のカバーも面白いが、ギター好きのリスナーは「ボナンザ」に震えるだろう。ドキュメンタリー映画が公開されたばかりの”レッキング・クルー”の中心人物トミー・テデスコの名演奏がフリゼールの手で蘇った。しかしその音色、そして後半部の浮遊感はまさにフリゼール・サウンド。この素晴らしい再構築に彼のルーツを見た。
さらに嬉しいことにフリゼールのオリジナル曲も入っている。1994年の短編映画(日本未公開)のテーマだが、これを聴くと彼の旋律が恋しくもなる。自身を創った音楽をコンパイルしたこの徹底的ともいえるカヴァー集は、2014年の名盤『Big Sur』で聴かせた壮大なソングライティングに回帰するターニング・ポイントなのかもしれない。

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