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ジェイミー・ウーン『Making Time』

久々にじっくり聴ける自作自演歌手の作品だ。2011年にアルバム・デビューしたジェイミー・ウーンの4年ぶりとなる本作は、ファレル・ウィリアムスやジャイルス・ピーターソンも太鼓判を捺す、エレクトロニクスの先鋭的なサウンドを纏いながらもポップなナンバーが並んだホワイト・ソウル。打ち込みと人力の融合がバランスよく、ラナ・デル・レイやバンクスといったポップ・シンガーのプロダクションなどを手掛けてきた手腕が遺憾なく発揮されている。同世代のジェイムス・ブレイクよりも格段に柔軟なサウンドとデリケートな歌い方は、ダブステップのアーティストからも注目されている。
全体に落ち着いたミディアム・テンポで統一され「Celebration」などではゴスペル・タッチのコーラスをバックに歌うなど、米国の黒人音楽へのオマージュを表しつつ、“今の空気”を呼吸したアーティストらしい繊細さと、儚さを秘めている。と同時に、普遍性を持った作品として時代を超えていきそうな懐の深さを感じさせる。2作目でここまでの高みに達したジェイミーは、サム・スミスなどと共に、英国の新しいソウル・ミュージックを開拓していくに違いない。

■Hostess
http://hostess.co.jp/releases/2016/03/HSE-6026.html

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