ここ数年、とにかく彼女の動向に目が離せない。内に溜めた情熱を、自由にそしてストレートにアウトプットできるピアニスト、いや、表現者だからだ。昨年は、NHORHM名義でジャズとメタルを結び付け、暑苦しくないロックを奏でる新しい解釈のジャズを提示した。迷いなく、常に前に突き進む彼女の基盤は、坂崎拓也(b)、清水勇博(dr)と活動している自己のピアノトリオのパララックス。08年に1stを発表し、3枚目の本作は、ツアーを重ねた事によって熟成したであろう、3人の息の合ったインタープレイを作品にしたライブ盤。ピアノ自体と会場の響きに定評のある、神戸のライブハウス、クレオールでのライブ録音は、ヨーロピアンジャズ的な細やかなタッチと美しい音色を奏でる彼女の演奏にはまさにピッタリである。前作から4曲をピックアップし、さらに新曲の3曲を加えているが、どの曲も以前よりも表現力が増し、曲中には必ず聴く者の胸を熱くさせるシーンがある。
オリジナルの新曲3曲に加え、7拍子のスリリングなアレンジを施したスタンダード曲「My Favorite Things」も秀逸。全曲がハイセンスかつ濃厚な内容で満たされる。
■西山瞳公式サイト
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