チック・コリアと小曽根真という、日米トップ・ジャズ・ピアニストのデュオ・ライブが5月に予定されているが、本作はそのライブを記念したコンピレーション盤。これまでに発表された二人の共演音源にくわえ、未発表だったデュエット・インプロビゼーション4曲と、小曽根真のビッグ・バンド“No Name Horses”によるチック・コリアの「クリスタル・サイレンス」(これも今回初登場)が収録されている。二人の歯切れが良く、高いテクニックと音楽性に裏打ちされた共演はどれも心地いいが、とくに初登場のインプロビゼーション4曲は、事前の打ち合わせや譜面などなく、ピアノで自由に会話した様子がそのまま収録されている。それぞれの個性や相手に対する思いをピアノで語り合っているようなスピリチュアルな音のやり取りは、“素”の彼らが、なんの衒いもなく表現されているといえるだろう。ときにぶつかり、ときに共鳴し合いながら、独特の音空間を産み出している。またNo Name Horsesの、ビッグ・バンドとは思えないほどの精細なアンサンブルも、小曽根真流によるチック・コリア解析として、とても面白い。
■オフィシャルサイトURL
http://www.universal-music.co.jp/makoto-ozone/products/uccj-2136/