様々なアーティストの名盤に携わりながら、難病によって亡くなった伝説的なヒップホップ・プロデューサー、J・ディラが、メジャーからリリースする予定で2000年代初頭にレコーディングしていた幻のアルバム音源が没後10年目の今年、遂にリリースされた。
プロデューサー・アルバムである『Welcome 2 Detroit』に続いて、ラップ・アルバムという位置づけで制作されたこの作品だが、自らのプロデュース曲に加えて、ピート・ロックやハイーテック、地元デトロイトからも多数のプロデューサーを起用。しかし、それだけ様々なメンツがトラックを提供しながらも、全体が一つのトーンで統一され、見事にJ・ディラの作品に仕上がっているのは驚きでもある。
スヌープ・ドッグのゲスト参加など意外性のある組み合わせなども興味深いが、それ以上に重要なのがマッドリブがボーナストラックも含めてプロデューサーとして2曲参加していることだ。のちに彼らはジェイリブというユニットで素晴らしい作品を生み出すわけだが、その第一歩となったこの作品には、ヒップホップシーンの美しい歴史が刻まれている。
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