投稿日 : 2019.10.17 更新日 : 2022.08.23
【最新版】ネオ・シティポップな新鋭アーティストたち
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70〜80年代の日本産 “都会派ポップス” が、シティポップとして再注目されています。こうした動きと連動するかのように、“シティポップな雰囲気”の新人グループも多数登場。
楽曲のバリエーションも多彩で、往年のシティポップ流儀を継承したものから、近年のヒップホップやテクノ的な感覚を取り入れた作品までさまざま。シティポップの主成分(ジャズやソウルやロックなど)を、現代的にブレンド&再製した「ネオ・シティポップ」が続々と生まれています。
2010年代に登場した新鋭
nulbarich(ナルバリッチ)
シンガー・ソングライターのJQ(ボーカル) がトータルプロデュース。2016年にファーストアルバム『Guess Who?』発表。その後わずか2年で武道館ライブを達成し、中国、韓国、台湾など国外のフェスにも多数出演。
never young beach(ネバー・ヤング・ビーチ)
2014年に結成。メンバーは安部勇磨(ボーカル/ギター)、阿南智史(ギター)、巽 啓伍(ベース)、鈴木健人(ドラム)の4名。通称“ネバヤン”。2015年にファーストアルバム『YASHINOKI HOUSE』発表。2019年に、4作目のアルバム『STORY』を発表し、初のホールツアーを実施。
Yogee New Waves(ヨギー・ニュー・ウェーブス)
2013年に活動を開始。翌年にファーストアルバム『PARAISO』を発表。2019年3月にサードアルバム『BLUEHARLEM』をリリースし、全国14公演におよぶワンマンツアーを実施した。現メンバーは角舘健悟(ギター/ボーカル)、粕谷哲司(ドラム)、竹村郁哉(ギター)、上野恒星(ベース)。
フレンズ
2015年に結成した、自称“神泉系”バンド。メンバーは、えみそん(ボーカル)、ひろせひろせ(MC/キーボード)、長島涼平(ベース)、三浦太郎(ギター)、関口塁(ドラム)。2018年8月にファースト・フルアルバム『コン・パーチ!』発表。
むしろアシッドジャズに近い?
シティポップというワードとともに注目される現代のバンド。その筆頭が、Suchmos(サチモス)でしょうか。たしかに、彼らの音楽は“都会的な洗練”をまとっていて、そこはシティポップの特性と合致しています。
しかし、そのビートや旋律、楽曲の構造などを観察すると、1990年代のアシッドジャズ(注1)やUKソウルに近いことがわかります。同じく、シティポップとして紹介されるバンドの中には、先述のアシッドジャズやトリップ・ホップ(注2)、アブストラクト・ヒップホップといった、イギリス由来の DJ/クラブカルチャーの影響を強く感じさせるバンドも多数。
そうしたサウンド感のものまで「シティポップ」と位置づけるのが、現在のネオ・シティポップ現象の大きな特徴かもしれません。
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発見!シティポップな海外ミュージシャン
●エヂ・モッタ(ブラジル)
●イックバル(インドネシア)
●プレップ(イギリス)
●雀斑(台湾)
●ポリキャット(タイ)
Suchmos(サチモス)
2013年に結成。メンバーは YONCE(ボーカル)、HSU(ベース)、OK(ドラム)、TAIKING(ギター)、KCEE(DJ)、TAIHEI(キーボード)。バンド名は、ルイ・アームストロング(トランペット奏者)の愛称「サッチモ」に由来。
WONK(ウォンク)
2013年に結成。メンバーは、井上幹(ベース)、長塚健斗(ボーカル)、荒田洸(ドラム)、江﨑文武(キーボード)。グループとしては “エクスペリメンタル(実験的な)ソウルバンド” を自称している。
D.A.N.(ダン)
2014年に結成。メンバーは、櫻木大悟(ギター/ボーカル/シンセ)、市川仁也(ベース)、川上輝(ドラム)の3名。2016年にファーストアルバム『D.A.N.』をリリース。翌年にはジャイルス・ピーターソンのラジオ番組〈Worldwide FM〉にも出演。
注1:1980年代末期にイギリスで発生したムーブメント。同じ時期に勃興した「レア・グルーブ」と呼ばれるDJカルチャーや、アメリカのヒップホップとも連動し、往年のジャズやソウル、ファンクやレゲエ、ブラジル音楽などを取り込んだバンドや楽曲が数多く登場。また、同名の音楽レーベル(ACID JAZZ)も設立され、ジャミロクワイはここからデビューした。
注2:90年代の初頭に生まれた音楽カテゴリ。発祥はイギリスのブリストルともいわれ、代表的なミュージシャンにマッシヴ・アタックがいる。ほぼ同義で「アブストラクト・ヒップホップ」とも。
シティポップを「ネタ」にした曲も
本来は “シティポップな作風”のアーティストではないが、シティポップを格好の素材として楽曲に反映させる事例も。たとえばサカナクションの「忘れられないの」。ミュージックビデオの世界観も含め、往年のシティポップ・ワールドに完全に“寄せて”きました。
サカナクション「忘れられないの」
2019年8月にリリースされた、サカナクションのシングル曲「忘れられないの」。ミュージックビデオに登場するのは、杉山清貴っぽい歌手や、わたせせいぞう『ハートカクテル』に登場しそうな人々。画面内の色調もパステル・カラーで統一。さらに、この曲を「8センチCDシングル」で販売するという念の入れよう。曲調もふくめ “日本のアーリー80’s” な世界を完璧にパッケージ。
上坂すみれ「ノーフューチャーバカンス」
声優、歌手として活動する上坂すみれのサードアルバム『ノーフューチャーバカンス』(2018年)の表題曲。本人も「シティポップをイメージした曲」と明言。歌詞は上坂が書き、作曲は東新レゾナントが手がける。80年代的アイドル歌謡の雰囲気と、ブラック・コンテンポラリーやライトなディスコビートが見事に融和。
一十三十一『CITY DIVE』
一十三十一(ひとみとい)のアルバム『CITY DIVE』。過去5作のオリジナルアルバムでは、ジャズやソウル、ファンクなどをベースに多彩な楽曲を披露してきたが、2012年に発表した本作は、アルバム全体を通してシティポップ的なコンセプトで設計。とりわけ、佐藤博(注3)作品からの影響が色濃く見てとれる。
注3:佐藤 博(1947-2012) シンガー・ソングライター/キーボーディスト。山下達郎や大滝詠一、細野晴臣らとともに、数多くの作品に参加。自身名義のアルバムも後年、シティポップの文脈で再評価された。