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休日、ゆったりとした気分で音楽を楽しみたい。そこに合わせる素敵な一杯とは? そんな音楽とお酒のマリアージュを楽しむ連載。第7回目は池尻(東京都世田谷区)にあるラム酒&カシャッサ専門店『BAR Julep(バー ジュレップ)』の 店長であり、アーティストの山本浩二さんにセレクトしていただきました。
バランスがよく、色気があり、優しい音楽
ロウレンソ・へべチス
『オ コルポ デ デントロ』
夕暮れから夜に切り替わる時間帯。休日を楽しんだ帰り道や、気分を変えたくてふらっと家を出たとき、立ち寄ったバーで流れていてほしい音楽を選んでみました。
ロウレンソ・へべチスは、ブラジル南東部サンパウロ州出身。バークリー音楽院卒のジャズギタリスト、コンポーザーです。ソロ名義でのデビュー作となる本作は、バイーア州(ブラジル北東部)の伝統的なアフロブラジルのリズムを取り入れながら、ブラジルの巨匠であるモアシール・サントス(作曲家、マルチプレーヤー)由来の旋律。マリア・シュナイダーのようなクラシック・ラージアンサンブル。カート・ローゼンウィンケルを彷彿とさせる現代ジャズギター。そして今作のプロデューサーであるアート・リンゼイらしい前衛的な空気など、すべての要素が複雑に絡み合いながらバランスよく調和していて、自然と身をゆだねられる心地よさがあるんです。
僕が買ったのは、アナログ盤が出たばかりの頃(2017年)、CDのほうが先に発売されていたみたいですね。渋谷のHMVに飾られていたのを見かけて、最初はジャケットのヴィジュアルに一目惚れ。ラテンジャズを探していた時期でもあって、HMVで働く友人に聞いたらオススメ盤とのことで即決しました。そこから、ヘビーローテーョンで聴いています。
針を落とした瞬間からシビれるようなかっこよさがあって、ストーリー性のある構成。映画や舞台を観ているかのようなワクワク感があるんです。そのセンスのよさと色気、さらにはブラジルらしい温かみや優しさも感じられて、アルバム全曲を聴き終わったあとには、そっと背中を押されたような気分になる。未来に向けて一歩踏み出したくなるような気持ちになるんです。
気分やシーンに合わせ、自由に飲めるラム
『マウント ゲイ・ブラックバレル』
そんなセンス抜群で心地よい音楽を聴きながら飲みたいのは、「マウント ゲイ・ブラックバレル」。カリブ海にある英連邦王国の島国バルバドス産、イギリス系のラム酒です。
マウント ゲイは、ラム酒の蒸留所として世界最古の1703年創業。この「ブラックバレル」は、バーボン樽として熟成させたあと、樽の内側を黒く焦がし、再度熟成させてからフィニッシュする製法から名付けられた銘柄です。
グラスを近づけると華やかな香りが広がって、ひとくち飲めばバニラやキャラメルを想起させる甘み。そしてピリッとするスパイスが感じられる。最後には焦がした木の香ばしい余韻が楽しめます。全体として男っぽい色気のあるお酒ですね。
汎用性が高いのも魅力で、ストレートはもちろん、ラム・ハイボール、ラム・コーク、ホットラムなど、どんな飲み方をしても美味しい。気分やシーンに合わせて日常的に楽しめ、価格もこなれているので、家に一本あると使い勝手がいいと思います。というのも、ラムは「下を向かないお酒」と言われているんです。少々飲み過ぎてもハイでいられる、明るい気分になれるのが魅力です。
共通点は、センスが秀逸でかっこいいところ
マリアージュのポイントは、雰囲気や気分、ボリューム感が合っているか。ロウレンソ・へべチスのアルバムと、マウント ゲイ・ブラックバレルは、「センスが秀逸で、ひたすらカッコいい」というところでフィットする。どちらも、さまざまな刺激的要素が複雑に絡みながら、バランスよく調和しているんです。そして、そっと背中を押してくれるような優しさもある。ヴィジュアル的にも、男らしい色気や、夜の空気を内包していてスマートなんです。
山本浩二 | Koji Yamamoto
バーテンダー/アーティスト。日本ラム協会認定ラム・コンシェルジュ。日本カシャッサ協会認定カシャッサ・コンシェルジュ。オリジナルレシピの漬け酒「パンチ(インヒュージョン)」はライフワークのひとつ。一方で、「対自、創造、対話」をステートメントに掲げたアート活動もおこなっている。2010年からは、ドリッピングやスパッタリングから派生した、独自の飛沫技法を用いた抽象画を中心に展開。2019年には、NY発のアパレルブランドStrauss Malcolm(ストラウス・マルコム)のプロジェクト『The Art Cruiser Project 』にも参加。
www.kojiyamamoto.com
■ショップデータ/
・店舗名/バー ジュレップ
・住所/東京都世田谷区池尻2-34-16 1F左
・営業時間/[月~土曜] 19:00~27:30(ドリンクL.O)、[日曜、祝日] 19:00~26:30(ドリンクL.O)
・定休日/元旦
・電話番号/03-3422-7650
・オフィシャルサイト/https://www.julep.tokyo/