1970年代に3枚のアルバムをリリースし、ジャイルズ・ピーターソンもフェイヴァリットに挙げる伝説のアフロ・ジャズ・バンド“アイドリース・アカムーア&ザ・ピラミッズ”が復活。なんとこれが34年ぶりのアルバムとなる。アフリカン・ミュージック特有の、複数のパーカッションが織りなすポリリズムと、ひとつのパターンを執拗に繰り返しながら次第に盛り上がっていく“ナチュラル・トランス”ともいうべきグルーヴ、そして呪術的なチャントなどをバックに、アカムーアのサックス・ソロが疾走していく。マヌ・ディバンゴやフェラ・クティなどから脈々と連なっているアフリカン・ファンクの語法をしっかりと踏襲しつつ、そこに現代のアプローチや独自の感覚も盛り込んで、個性的なサウンドを展開している。とてもエモーショナルで、プリミティヴで、フィジカルな音楽だが、ちゃんと現代のセンスも取り入れられているし、そういう意味では、21世紀のアフリカン・ジャズの現在地をうまく表現している作品だといえるかもしれない。