しなの椰惠（シンガーソングライター）【私のレコード初体験は…】

レコードプレーヤーで聴いているってかっこいい

——いつ、どんなきっかけでレコードと出会いましたか?

去年の１月に購入しました。お酒を飲みながらビリー・ジョエルの「Piano man」をレコードで聴きたくて。お金に余裕がなかったのですが、割と無理して購入しました。

——アナログレコードのどんなところに魅力を感じる?

リピートやシャッフル機能がないところが魅力だと思います。アーティスト側が曲順に込めた想いだとか、アルバム１枚で“ひとつの作品”というのが際立って。移動中は好きなアーティストの曲をシャッフルで再生することも多いですが、「音楽を聴くぞ！」っていう時間はレコードを聴いています。作品との距離がとても近くて、曲順とか曲間の時間とか、勉強になることがとても多いです。なによりレコードプレーヤーで曲を聴いているって言うのはかっこいいですよね。

——初めて聴いた一枚は?

ビリー・ジョエルの『Piano man』のレコードを買いたかったのですが、レコードプレーヤーと一緒に注文したのがCDだったんです…。自分のポンコツ加減に嫌気がさしました（笑）。プレーヤーが届いて直ぐに中古レコードショップに向かって、いるかの『なごり雪』、ビリー・ジョエルの『ストレンジャー』を購入しました。「Piano man」は収録されてなかったですが…（泣）。

——いま何枚くらい持っていますか？ 

25枚です。レコード屋さんで気になったものを購入しているので、ジャンルはバラバラですね。特に多いものはありません。

“音が鳴ってる感”を直接的に感じられて好き

——レコードの情報はどこで入手していますか?

基本的にレコードショップへ直接行って片っ端から探してます。目当てのがなくても、「これかっこよさそうだな」とかジャケットで決めたりしてます。好きな物だけ買ってしまうと新しい出会いもないので、CDやレコードのジャケ買いはとても自分の為になると思ってます。失敗も沢山ありますけどね。

——聴くときに使っている機材を教えてください。

「D&L Soulレコードプレーヤー」を使用しています。スピーカーも内蔵されていて、音もとても良いです。値段的にも買いやすいし、なによりスーツケース型なので持ち運べるのがとても気に入っています。友達と集まる時や、BBQなどのイベントでもこれ一つ持っていくだけで素晴らしい音質でどこでも音楽を楽しむことが出来ます。

——同世代の女性（知人・友人）でレコードを聴いている人はいますか?

同世代だと会ったことないですねー。わざわざ「レコードで聴いてる！」とかも自分から言わないので。みんな言わないだけで「レコード持ってるんじゃない？」とも思いつつ。やっぱり手軽じゃないし、レコード自体も高いので、生活のBGMとして使っている人達は少ないのかなと思います。

——いまではどんな音楽でもデジタル（ネット経由）で聴けますが、あえてアナログレコードを選ぶ理由は？

アナログ感ですね。最近はサブスクやYouTubeで音楽を聴くのが主流で、CDを購入しても一度パソコンやスマホなど機械を通さないと聴けない。けど、レコードに針を落とすことで音が鳴るというのは、手間ですが、“音が鳴ってる感”をすごく直接的に感じられて、私はとても好きです。

——レコードプレーヤーに「こんなことができたら良いな」という機能があれば教えてください。

特にないですね。強いて言うなら、私のプレーヤーに限ったことなのかもしれないですが、充電式でコード無しで聴ければもっといいかなと思います。イコライジングも出来たら嬉しいな。私のはスピーカーが小さいので低音が聞にくいんです…。でも現状、今の機材でも満足してます。

——お気に入りの一枚を教えてください。

いるかの『なごり雪』とサザンオールスターズの『10ナンバーズ・からっと』です。

『10ナンバーズ・からっと』は、1979年に発売された、サザンの２枚目のオリジナルアルバムで「いとしのエリー」も収録されています。聴いた瞬間に1979年にタイムスリップする感覚があり、イライラした日とかにもってこいですね。桑田さんの本当の声が聞こえる気がします。