投稿日 : 2019.11.01 更新日 : 2021.10.12
【最新 レコードプレーヤー】エントリーモデルから高級機まで「いま買うならコレ」価格別おすすめ10機
文/安藤政弘
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50代のオーディオファンを中心に、アナログレコード回帰の動きが加速している。ここ数年は、ジャケットのインテリア性に目をつけた10~20代も増加し、レコード盤の生産数は世界的に右肩上がりだ。
一方で、レコードプレーヤー市場も活況が続く。国内ではテクニクスやヤマハを中心に、歴史的名機の品番を継承する高額なフラッグシップ機が予想以上に好調。USBとプレーヤーを接続し、レコードの音源を最新のハイレゾ音源として録音・保存できる機種も、オーディオ機器としてポピュラーな存在となってきた。
今回は、各社の魅力が集積されたおすすめのモデルを価格帯別に厳選。お気に入りの1台でアナログレコードの魅力をさらに深く楽しんでいこう。
最初の1台にも最適【10万円以下モデル3選】
ソニー「PS-HX500」
USBでPCに接続するだけで、アナログレコードの音をハイレゾ・ファイル・フォーマット(最大DSD 5.6MHz、リニアPCM 192kHz/24bit)で録音・保存。独自の録音・編集可能な専用アプリ「Hi-Res Audio Recorder」の使い勝手もよく、ストレスのない直感的操作でレコード音源をデジタルでアーカイブできる。
本体はベルトドライブ方式で、MMカートリッジ対応のフォノイコライザーを内蔵。制振性を備えたアルミダイキャストの軽量シェル一体型のストレートトーンアーム、共振しにくい音響用の30mm厚高密度MDFキャビネット、ゴムの硬さやサイズがチューニングされた偏心インシュレーター、5mm厚の専用ラバーマットを採用することで、振動やノイズを抑え、レコードの追随性を高めつつ、安定感のある再生を実現している。
比較的導入しやすい価格帯ながら、オーディオコンポーネントとしてのこだわりの設計もしっかりと感じとれる。
デノン「DP-400/DP-450USB」
デノンが昨年、約10年ぶりに投入したMMカートリッジ対応フォノイコライザー搭載のモデル。光沢仕上げのキャビネットやアルマイト加工のトーンアームなど、洗練されたモダンデザインが象徴的。
最大のポイントが、名機「DP-5000」(1971年発売)の設計思想に回帰して設計された、スタティックバランスのS字型トーンアームだ。アームの中心から針先までの距離や針の角度といった基本設計をひとつひとつ追い込みながら、トラッキングエラーを抑え、レコードの音溝をより正確にトレース。
駆動にはベルトドライブ方式を採用し回転制御機能も備える。ヘッドシェルは交換しやすいユニバーサルタイプで、カートリッジによる聴き比べが楽しめる他、便利なオートリフトアップ&ストップにも対応している。
USB対応の「DP-450USB」(上記画像右)には、 アナログレコードの音楽をMP3、WAV(44.1kHz/16bit)でダイレクトにUSBメモリーに録音することができる。
メーカー希望小売価格:5万8000円(税抜)
https://www.denon.jp/jp/product/hificomponents/usbdaconverters/dp400
デノン「DP-450USB」(2018年発売)
メーカー希望小売価格:7万円(税抜)
https://www.denon.jp/jp/product/hificomponents/turntablecartridges/dp450usb
Rega「Planar 1 Plus」
「Planar3」などの名機で知られる「Rega(レガ)」は、1973年に英国で創設された40年以上の歴史を持つオーディオブランドだ。2016年に日本で再びレコードプレーヤーの展開をはじめると、その音質と突出したデザイン性で、瞬く間に大きな支持を集めることになった。
「Planar 1 Plus」は入門機といえるポジショニングであるが、振動を抑え、音のよさをストレートに伝えるメラニン材加工のウッドキャビネット、摩擦抵抗が少なく滑らかな回転を維持するプラッター&サブプラッターなど、妥協のない設計思想が脈打っている。
白眉は、伝統をベースにアップデートされたヘッド一体型のストレート型アームと、微小なフォノ入力信号をライン出力信号レベルまで増幅可能な(内蔵の)高性能フォノアンプで、音に安定感と力強さをもたらしている。MMカートリッジ対応で、駆動にはベルトドライブ方式を採用。
ワンランク上の音を求めて…【20万円以下モデル3選】
ELAC「MIRACORD 50」
ELAC(エラック)はドイツ創業のオーディオブランドで、1950年代にはレコードプレーヤー「MIRACORD(ミラコード)」が大ヒット。日本ではステレオ・フォノ・カートリッジメーカーとしても馴染みが深い。この老舗ブランドから、創業90周年を記念して2017年にリリースされたのが「MIRACORD 50」だ。
アルミダイキャスト製プラッターと万全な共振対策が施されたシャーシ、ローノイズDCモーターを採用することで、エントリークラスの印象を払拭するハイレベルな基本設計を実現。スタートから低速回転まで快適に立ち上がるベルトドライブ式駆動との連携で、レコードの安定した回転を維持する。
精密なベアリング機構で動作するスタティック・バランス・トーンアームには、ヘッドシェルが交換できるユニバーサルタイプを採用。アンプを問わず接続できるRIAAイコライザー(ON/OFF可)を内蔵したフォノ・プリアンプも搭載されている。
ビギナーもハードルの高さを感じることなく、すぐにアナログレコードの醍醐味を実感することができる。
メーカー希望小売価格:9万9000円(税抜)
https://www.yukimu-officialsite.com/miracord-50
テクニクス「SL-1500C」
DJ用として圧倒的なシェアを誇るテクニクス・ブランド。その真価を実感できるワンランク上のモデル。
ダイレクトドライブ機構のターンテーブルは「コギング(回転ムラ)」の発生が弱点とされるが、これを抑えるためにコイルから鉄心を除いた“コアレス・ダイレクトドライブ・モーター”を搭載。また、プラッター(レコード盤を載せて回転させる部位)は、アルミダイカストの裏面にデッドニングラバーを貼り付けた2層構造。ボディも同じく、2層構造シャーシ(ガラス繊維の特殊素材をアルミダイカストに一体化)と金属シャーシを組み合わせた強靭な高剛性筐体。ともにハウリング耐性を高め、共振や振動を抑え込む設計になっている。
トーンアームには、パイプ素材にアルミニウムを採用した、テクニクス伝統のスタティックバランス型のS字形ユニバーサルタイプを使用。さらに本機には、MM型カートリッジに対応したフォノイコライザーアンプが内蔵され、カートリッジも同梱。オートリフトアップ機能も搭載され、レコードプレーヤーを使ったことのないユーザーにも操作しやすい仕上がりになっている。
Rega「Planar6」
英ブランド「Rega(レガ)」のもつ最新技術を惜しみなく投入した、革新性を実感させるミドルレンジのターンテーブル。
特筆すべきは、航空宇宙産業用に開発されたハイテク素材「Tuncast8」によって、軽量性と高度を融合した特殊ウレタン製のキャビネットだ。ストレート型トーンアームとサブプラッター間には、天面と底面を異種合金で補強したダブルブレイス機構を使用。フットも新規で起型することで、よりハードな構造を実現し、振動をしっかりと抑え込んでくれる。
プラッターには、Regaの象徴である二重構造のガラスプラッターを採用。サブプラッターにアルミ削り出し素材を用いることで、メインプラッターへの振動も最小限に抑制する。
さらにプレミアムシリーズの「RP10」同様、電源ユニットにはジェネレーター機能が搭載され、回転ムラとモーター音を限界まで抑えている。カートリッジ付きタイプは21万円(税抜)~。
本気で「音」を追求する【30万円〜のモデル4選】
ラックスマン「PD-151」
1925年に創業したLUXMAN(ラックスマン)は、日本を代表するオーディオメーカーとして(特に)プリメインアンプや真空管アンプの分野で世界的名声を獲得している。レコードプレーヤーの製造は一旦休止していたが、2011年、約28年ぶりとなるベルトドライブ方式のアナログプレーヤー「PD-171」で復活。2013年にはアームレスタイプの「PD-171AL」と、リファインした「PD-171A」の2機種をラインアップした。
最新モデルである「PD-151」は、従来機より買いやすくなったスタンダードモデルだが、オリジナルの高精度DCモーターを搭載することで正確な回転数を保持。底部からの振動を制する、メインシャーシを兼ねた高剛性のトッププレートには、堅牢な10mm厚のアルミ削り出しプレートを採用。重量4kgのアルミ削り出しターンテーブルや、ステンレス製のセンタースピンドル、ボールベアリングを用いたPEEK製スラスト軸受けと真鍮製ラジアル軸受けなど、性能の要となる構成は「PD-171A」を踏襲している。
トップパネル上は、アーム、モーター、ターンテーブルに絞り込むことで機能と操作性が向上。一切の飾りを排した質実剛健な仕上げも魅力となっている。
ヤマハ「GT-5000」
ヤマハのオーディオ技術を集大成したフラッグシップ・ターンテーブル。1982年発売の「GT-2000」シリーズで確立された、音質的に必要な部分の巨大重量化と不要部分を省いた設計を基本とする「GT思想」がもとになったモデル。
横幅546×奥行395×厚さ120mm、単体質量14.3kgという、高密度パーティクルボードを4層積層で圧着した、伝統の巨大木質系キャビネットを使用。真ちゅう削り出しのメインとインナー2重構造の大径重量級プラッターを装備し、クォーツ制御による正確な正弦波を用いた「24極2相ACシンクロナスモーター」によるベルトドライブ方式で、抜けのよい音像を実現する。
独自のピュアストレート・トーンアームのパイプ部は、テーパードカーボンパイプと銅メッキアルミパイプ(内側)とを組み合わせた2重構造。高剛性・低共振特性をもち、並外れたノイズ低減に貢献。さらに、音声配線に新世代の銅導体を投入したことによって、全帯域の情報量を豊かに表現し、低域の力感をも体感させる。
メーカー希望小売価格:60万円(税抜)※ピアノブラック仕上げモデル:88万円
https://jp.yamaha.com/products/audio_visual/hifi_components/gt-5000/index.html
McIntosh「MTI100」(国内販売未定)
1949年にアメリカ・ワシントンで設立され、今年で創立70周年を迎える高級オーディオブランド McIntosh(マッキントッシュ)。真空管を用いた管球式オーディオで知られ、マニアックな印象の強い同社が新たに開発した、アンプ内蔵のオール・イン・ワン(一体型)レコードプレーヤーが「MTI100」だ。
駆動はベルトドライブ方式。プラッターやストレート型トーンアームはアルミ製で、カートリッジには米「Sumiko」社製の「Olymia」を使用。厚さ6.35mmの金属製パネルと9.5mmのガラスを組み合わせ、外部からの振動を抑える本体の重量は15.2kgあるが、サイズは幅48.9cm×奥行き35.6cm×高さ17.15cmと比較的コンパクト。パワーアンプ(クラスD)や真空管プリアンプも内蔵し、スピーカーにつなぐだけですぐに再生を楽しめる。
自社製ヘッドホンアンプ「High Drive」搭載で、現代のイヤホン・ヘッドホン試聴にもマッチングさせている。さらに、レコード・プレーヤーサブウーハー出力端子、ヘッドホン・ジャック、同軸デジタル入力端子などインターフェースも充実し、幅広い拡張性を実現。内蔵のBluetoothレシーバーを使えば、音をスマホなどのデバイスに飛ばしワイヤレスリスニングも可能だ。
マークレビンソン「No515」
“原音忠実再生”をコンセプトに、1972年にアメリカで誕生したハイエンドオーディオブランド「マークレビンソン」。「No515」は、同社の創立45周年を記念して初めてリリースされたターンテーブルである。
新開発樹脂によるストレート型トーンアームは、ヘッドシェルとアームシャフトの完全一体構造で、音楽信号のピュアな伝送を実現。シャーシは、12.5mm厚のアルミプレートを12.5mm厚のMDF(中密度繊維板)で挟み込んだ独自構造によって制振性と強度を両立。また約9kgのアルミ削り出しのプラッターには、軸受け部に圧着加工した銅製のリングと超高強度ステンレス製スピンドル軸を装備。モーター部と電源部を分離し、別の筐体に収めることで、機械的振動や電気的ノイズも抑え込む。
さらにアルミとデルリンの削り出し材料を構造体に使用したインシュレーター内部には、振動を減衰するポリマー材を使用。安定したレコード再生技術が徹底的に追求されている。