ジョシュア・レッドマンとブラッド・メルドーという、現代ジャズ・シーンの最前線を突っ走り続けている二人によるデュオ・ライヴ・アルバム。2011年に行なわれたヨーロッパ・ツアーの模様が収録されている。メルドーはかつてジョシュアのグループでも活躍していたから、気心の知れた旧友の再会セッションという趣もある。演奏されているのは、彼らのオリジナル曲とスタンダード曲が3曲ずつだが、それぞれが互いに反応し合い、時には反発し、時には溶け合いながら、二人だけの会話をじっくりと繰り広げていく。メロディアスに歌いながらも、決してアグレッシヴさを忘れないジョシュアのサックスと、ベルベットのようななめらかさと、得も言われぬ狂気が共存するメルドーのピアノは、リラックスした雰囲気を漂わせながらも、緊張感にも満ちており、1音1音を慈しみながら、次第に上り詰めていく演奏が、この上なく美しい。二人の卓越したアーティストが、互いを尊重し合いながら、とても“無防備”に、会話を極上の芸術作品へと昇華させている、魂の交流の記録である。