気鋭ベーシスト/シンガーによる3枚目のフル・アルバムは、マイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスを迎えたメロウなAOR調の先行曲「Show You The Way」で予感させたように、メイヤー・ホーソーンとも共鳴しそうな甘くセンシティヴな声を前面に打ち出したボーカル・オリエンテッドな内容になっていた。80年前後のエアリーなグルーヴを纏ったフュージョン・ソウルが展開されるわけだが、それはフライング・ロータスやルイス・コールらの参加も示唆するようにビート・ミュージックを通過してのもので、新旧の西海岸サウンドを繋ぎながらアップデートした形を見せる。「Friend Zone」もブギー・ブーム以降のシンセ・ファンクだ。旧知のカマシ・ワシントンを含む生演奏とプログラミングで紡いだコズミックなサウンド、テイク6ばりの清涼ハーモニー、アイズリー・ブラザーズ曲の換骨奪胎など、ファレルやウィズ・カリファとの共演も含めて黒人大衆音楽のスリルや快感をさりげなく詰め込んだこの大作感。盟友ケンドリック・ラマーとの「Walk On By」でドラムマシーンの簡素な音に乗って孤独を歌ういじらしさなど、親近感を抱かせるのも彼らしい。