投稿日 : 2015.07.01 更新日 : 2024.03.18

Montreux Jazz Festival Japan 2015

東京で開催が迫ったモントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンを解説

 1967年の夏。スイス、レマン湖のほとりでモントルー・ジャズ・フェスティバルははじまった。創始者のクロード・ノブスは当時31歳。熱心なジャズファンだった彼は、自分の大好きな音楽を地元の人たちに聴かせたい。さらには、夏期の名物イベントとしてモントルーに観光客を呼び込みたいと考えた。そんな彼の目論みは、いつしか「欧州最大級にして世界屈指の音楽フェスティバル」にまで発展する。彼は2013年1月に他界(享年76歳)するまで“モントルー・ジャズ”の最前線で指揮を執り、多くのミュージシャンとファンに愛され続けた。ノブス亡き後はマシュー・ジャトン(現CEO)が受け継ぎ、こうして東京で開催される「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン」にも、そのDNAは継承されている。

モントルー・ジャズ・フェスティバル創始者のクロード・ノブス(写真右)

この“日本版モントルー・ジャズ”の出演者については他項で詳しく述べるとして、そもそも“モントルーのDNA”とは何か。端的に言うと、イベントタイトルに冠された「ジャズ」が指すものである。“モントルー・ジャズ”が掲げる「ジャズ」は、一般的に認知される“狭義の”ジャズではなく、“広義の”ジャズだ。つまり、いわゆる(1950年代までに確立された)ジャズの演奏様式に依存するのではなく、ジャズという音楽が持つ“自由な精神”そのものを「ジャズ性」とし、このマインドを持つミュージシャンを招聘している。少なくともこの50年の歴史を振り返ると、そう理解できる。なにしろ、1967年の開催からわずか4年後には、ビル・エヴァンスやニーナ・シモンに並んで、カルロス・サンタナやアレサ・フランクリンが出演。この両者については、既存のジャズ的な文脈で説明がつくのだが、フランク・ザッパやディープ・パープル、ピンク・フロイドまでもが肩を並べていることを考えると、かなりフリーダムなジャズフェスといえる。

スイスではレマン湖の周辺がフェスの舞台となる

 余談だが、1971年のフランク・ザッパ出演時、ステージで火災が発生。たまたま現場に居合わせたディープ・パープルがその一部始終を歌にした。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」である。誰もが知るあの曲は、1971年のモントルーの壮絶な一夜を歌ったものだ。タイトルにあるSmokeは火災の煙。Waterはレマン湖の水面のことだ。さらに余談だが、同曲の歌詞に「ファンキーなクロード」という男が登場する。ほかでもない、先述のクロード・ノブスのことである。曲中では「クロードは火災現場を走り回り、子供たちを救い出したんだ」と英雄譚のように歌われている。
クロード・ノブスが助けたのは子供たちだけではない。いわゆるジャズやロックやソウルといった、明快なジャンルにカテゴライズしにくい、当時の“フリーダムなミュージシャンたち”に最高の舞台を提供し続け、彼らの名を売った。ロイ・エアーズやブラックバーズ、ユセフ・ラティーフ、ゲイリー・バーツなどはその最たる例かもしれない。

スイスではレマン湖の周辺がフェスの舞台となる。
美しいロケーションも人気のひとつ

数々の伝説がうまれたストラヴィンスキー・ホール。
東京の各会場でも、このような光景を目にしたい

加えて、数々の「ライブ・イン・モントルー音源」が作品化され、スタンダードからアブストラクトなジャズまで、その聴き方や楽しみ方を教えてくれた。言うまでもなく、こうした作品群はミュージシャンにも多くの恩恵をもたらしたはずだ。
今回、東京で開催されるステージも例外ではない。出演者を見ると、ある人は「オルタナティブ」と表現し、ある人は「フリーダム」と解釈するような、先鋭的なミュージシャンが多数参加している。無論、オーセンティックなジャズの血統を受け継ぐ演奏者もしっかりといる。彼らがいったいどんな宿望を持ってステージに立つのか。どんなパフォーマンスを展開するのか。さすがに「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は50年に一度の大事件だろうが、のちに語り草になるような、驚嘆のパフォーマンスが披露されることを期待してやまない。  本特集内では、そんな“注目すべき主演者”の魅力を考察し、それぞれの見どころを 探ってみた。ステージ鑑賞プランを組み立てる参考として、ぜひ活用して頂きたい。

10月からのべ12日の期間中、さまざまなパフォーマンスが繰り広げられるのだが、気になるのはその中身。今回、このイベントの出演者でもあり、さまざまな音楽を聴き倒してきた松浦俊夫と橋本徹の両者の対談を行い、“モントルー・ジャパン”の魅力を語ってもらった。また、他出演者によるショート・インタビューも実施。それぞれが、どのようなパフォーマンスをするのか? また、オススメの公演やアーティストを紹介してくれた。

 今回の出演者の「作風」や「サウンドの傾向」および「アーティストとしての理念」などを鑑みつつ、座標上に配置した。自分の好きなミュージシャンがどの位置にいるのか、その近くには誰がいるのか。あるいは、縦軸/横軸のベクトルから「自分好みの位置=ツボ」を決め、観るべきステージのあたりを付けるのも良いかもしれない。



 ここでは便宜上、縦軸を「DANCE/LISTEN」とし、いわゆるダンスミュージック寄りなのか? もしくは、じっくり腰を据えて聴き入るリスニング向きなのか? をベクトル化。ちなみに「ダンス」の対極にあるからと言って、決して「躍動的ではない」ということではない。一方、横軸は「TRADITION/INNOVATION」。つまり「伝統と革新」で軸を形成した。これもまた“どれだけブッ飛んでいるか”を評価するものではなく、伝統的なサウンドや表現方法に則っているのか否か? を漠然と指し示すものである。
これはあくまでもARBANの主観によるもので、アーティストによっては表現形態をステージごとに変化させる場合も多々ある。あくまでも「パフォーマンスの傾向」として参考にしていただき、鑑賞の一助になれば幸いである。

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“Opening Night by ARBAN”

VENUE
LIQUIDROOM
TIME
19:00 – LAST
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい
PRICE
Door¥7,000
Adv ¥6,500(ドリンク別)

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“Opening Night by ARBAN”

記念すべき初日を飾るのは、ARBANプレゼンツによる「Opening Night by ARBAN」。ジャンルに固執しないモントルー・ジャズ・フェスティバル、そして良質な音楽を発信するARBANらしいラインナップで本フェスティバルの幕が開ける。

(編集部より)MJFJの目玉とも言えるシャソルとモッキーの共演は必見!

  • CHASSOL

  • MOCKY

  • MAMA!MILK

  • GILLES PETERSON

  • TOSHIO MATSUURA

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“RAINBOW DISCO CLUB”

VENUE
LIQUIDROOM
TIME
23:30 – LAST
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい
PRICE
Door¥4,000
Adv ¥3,500

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“RAINBOW DISCO CLUB”

良質なエレクトロニック・ミュージックと、さまざまな表現によるアートを提供する都市型フェスティバル「Rainbow Disco Club」。時間と空間をクロスオーバーさせるコンセプトのもと、本国スイスの意匠を継承する特別な一夜となる。

(編集部より)サイケマジック、エディー・シーといったディスコ好き生唾もののラインナップ!

  • 77 KARAT GOLD

  • PSYCHEMAGIK

  • EDDIE C

  • CHIDA

  • KIKIORIX

  • SISI

  • TORU HASHIMOTO

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“晴れたら空に豆まいて”

VENUE
晴れたら空に豆まいて
TIME
19:00 – LAST
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい
PRICE
Door¥4,500
Adv ¥4,000 (ドリンク別)

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“晴れたら空に豆まいて”

他にはない独自のラインナップが定評のライブハウス兼サロン「晴れたら空に豆まいて」には、日本とイギリスの注目女性シンガー・ソングライターが登場。本フェスティバルでもひときわ異彩を放つキャスティングが実現した。

(編集部より)ともに20代という若さ。日英の妖精ともいうべき両者の共演は見逃せません!

  • FLO MORRISSEY

  • ICHIKO AOBA

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“ARBAN CLUB”

VENUE
UNIT
TIME
23:30 – LAST
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい
PRICE
Door¥4,500
Adv ¥4,000

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“ARBAN CLUB”

初日の「Opening Night by ARBAN」に続き、ARBANが送るミッドナイトアワー「ARBAN Club」。本フェスティバルのなかでも随一の密度を誇るラインナップで、UNIT/SALOON/UNICEの全フロアで開催する。

(編集部より)メラニーのライブ・パフォーマンスはもちろんステージ演出にも注目!

  • MELANIE DE BIASIO

  • TOSHIO MATSUURA presents HEX

  • GILLES PETERSON

  • EARL ZINGER

  • YOSI HORIKAWA

  • CALM

  • SHHHHH

  • DJ QUIETSTORM

  • RIGHTEOUS

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“DBS 19th Anniversary“MALA & COKI -Digital Mystikz”

VENUE
UNIT
TIME
23:30 – LAST
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい
PRICE
Door¥3,800
Adv ¥3,300

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“DBS 19th Anniversary“MALA & COKI -Digital Mystikz”

都内随一のベースミュージックパーティー「DBS」の19周年。オリジナル・ダブステップ、UKベース・ミュージック界の最高峰に君臨し、今年レーベル/パーティー<DMZ>の10周年を迎えたMALA&COKI-DIGITAL MYSTIKZが登場。

(編集部より)ベース・ミュージックやドラム&ベースを聴けるのも本フェスの醍醐味!

  • MAMADOU DOUMBIA

  • MALA & COKI-Digital Mystikz

  • GOTH-TRAD

  • HELKTRAM

  • DJ INZA

  • SIVARIDER

  • DJ DON

  • TETSUJI TANAKA

  • SHINTARO

Montreux Jazz Festival Japan 2015
“PREMIUM LIVE FEAT. DAVID SANBORN -TIME AND THE RIVER-”

VENUE
BLUE NOTE TOKYO
TIME
[1st] Open 17:30 Start 18:30
[2nd] Open 20:15 Start 21:00
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい
PRICE
MUSIC CHARGE ¥10,800

Montreux Jazz Festival Japan 2015
PREMIUM LIVE FEAT. DAVID SANBORN -TIME AND THE RIVER-

6度のグラミー賞に輝き、アルト・サックスの最高峰として知られるデヴィッド・サンボーンのプレミアム・ライブ。世界的スラップベーシストの一人、マーカス・ミラーが15年ぶりにプロデュースした最新作『TIME AND THE RIVER』を引っさげて来日。

(編集部より)まるでシンガーが歌うように奏でる世界最高峰のサックスの音色は必聴!

  • DAVID SANBORN

Montreux Jazz Festival Japan 2015
PREMIUM LIVE FEAT. JOHN McLAUGHLIN & THE 4TH DIMENSION”

VENUE
BLUE NOTE TOKYO
TIME
10.23 FRI
[1st] Open 17:30 Start 19:00
[2nd] Open 20:45 Start 21:30
10.24 SAT, 10.25 SUN
[1st] Open 16:00 Start 17:00
[2nd] Open 19:00 Start 20:00
PRICE
MUSIC CHARGE ¥8,800

Montreux Jazz Festival Japan 2015
PREMIUM LIVE FEAT. JOHN McLAUGHLIN & THE 4TH DIMENSION

マハヴィシュヌ・オーケストラ、スーパーギター・トリオなどで活躍したカリスマ・ギタリスト、ジョン・マクラフリンが、フォース・ディメンションを率いて来日。最新作『Black Light』をリリースしたばかりの彼が、本フェスティバルの最後を締めくくる。

(編集部より)自らが「過去最高の出来」と語る最新アルバムを携えたライブに期待!

  • JOHN McLAUGHLIN & THE 4TH DIMENSION

1724年の創業以降、3世紀にわたり「コニャックの真髄」として愛され続けるブランデー、レミーマルタン。そのレミーマルタンのオリジナルカクテルのプレゼントキャンペーンを実施

オリジナルカクテルは、2会場4日間(詳細下記)で、レミーマルタンのバーを展開するほか、入場時に配布するチケットとスマートフォンアプリ「One Night In Tokyo」のダウンロード画面の提示で、「レミーマルタン・スペシャルカクテル」を先着100名様に1杯プレゼント。同アプリは、「レミーマルタン」ブランドが大人のシティライフを満喫するためにロンドン版に続いて開発し、本年3月にリリースしたもの。レミーマルタンをさまざまなスタイルで楽しめる東京都内のバー6店と、それぞれのバーで創作された「レミーマルタンVSOP」の魅力を引き出す究極のカクテルなどを紹介している。

「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2015」で提供されるカクテルも、「レミーマルタンVSOP」の芳醇な味と香りが体感できるスペシャルカクテルとなっているので、コニャックが初めてという人も、その深遠なレミーマルタン世界を最高のミュージック・パフォーマンスとともにお楽しみください。

【レミーマルタン特設バー、スペシャルカクテルキャンペーン実施概要】
「One Night In Tokyo」
2015年10月1日(木)19:00~ LIQUID ROOM(渋谷区東3-16-6)
2015年10月2日(金)23:30~ LIQUID ROOM
2015年10月10日(土)23:30~ UNIT(渋谷区 恵比寿西1-34-17)
2015年10月11日(日)23:30~ UNIT

■カクテルキャンペーン参加方法
1.入場時に配布されるチケットの裏面に記載されているQRコード、または下記URLからアプリをダウンロード
https://itunes.apple.com/app/one-night-in-tokyo/id977957190
2. 会場内「レミーマルタン」バーカウンターにて、チケットとアプリをダウンロードした画面をスタッフに提示
3. メニューから「レミーマルタン・スペシャルカクテル」を選んでオーダー

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