KYOTO JAZZ MASSIVE主宰。TOKYO CROSSOVER/JAZZ FESTIVAL発起人。THE ROOMプロデューサー。
音楽不況が囁かれるなか、続々と素晴らしい作品がリリースされ、昨年以上に豊作の年だったような気がします。また、今回挙げた3枚のように、ジャンルを越えたクロスオーバーな作品が評価/支持された一年でもあり、個人的にはこのボーダレス化を歓迎しています。しかし、そういうポジティブな側面がある一方で、アンダーグラウンド・シーンにも、有名志向、権威志向が忍び寄り、貧富の差が拡大している感は否めない。
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- Hiatus Kaiyote
- Choose Your Weapon
満を持して発表されたセカンド・アルバム。ソウル、ファンク、R&B、ヒップ・ホップ、プログレといったカラフルな音楽が眩しい程にブレンドされた力作。今ジャズなドラム・パターンにビート・ミュージック的な音色が入り交じり、幅広い層を魅了した。待望の来日も果たし、音源とライブの両方で実力を発揮。今後、さらに化けそうな予感があり、来年以降の活躍も楽しみな存在。
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- Quantic presents The Western Transient
- A New Constellation
安定のクァンティックの新作。民族音楽路線からジャズにシフトしたものの、そのヴィンテージ感覚とヒューマニティ溢れる作風は健在。モード風の楽曲の美しさもさることながら、何気にブギー的なジャズ・ファンクのビートを取り入れるなど、先端のムーブメントを視界に入れたオーガニック・ミュージックの新たな提案。これは“流石”としか言いようがない。
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- Floating Points
- Elaenia
気鋭のプロデューサー、フローティング・ポインツのデビュー・アルバム。サブ・プロジェクト、フローティング・ポインツ・アンサンブルに近いスタイルだが、“エレクトロニック・ミュージックの生音による表現”という意味では圧倒的な存在感。意識したのかは不明だが、彼がUK産のジャズ・ロック~プログレに位置するアーティストであることが判明したのではないだろうか。