投稿日 : 2015.12.25 更新日 : 2018.12.28
山本隆(JAZZ PERSPECTIVE編集長)|2015 Best Disk Review -あの人が選ぶ3枚-
2015年も西へ東へと飛んだ。カナダのトロントには春、夏と二度行った。そこで会ったバーブラ・リカの作品が今年は思い出深い。『JAZZ PERSPECTIVE vol.11』の表紙にも出てもらった。またドイツ、スウェーデン、フィンランドの各都市でジャズ界隈をさまよった。9月は初のロシア行き。モスクワのライブハウス、イゴール・ブットマンの店では、トゥヴァ共和国の女性と知り合いになった。トゥヴァはモンゴルと国境を接するロシアの一部。喉歌「フーメイ」の本場と音楽ファンには知られている。その女性のおかげで、ようやくその世界観に没入することができるようになった。
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- Barbra Lica
- Love Songs
バーブラ・リカは今年東京JAZZの野外ステージに登場し、東京デビューを飾った。本作の発売と同じタイミングの来日で、いい感じでファンに浸透していったようだ。2曲目の「Coffee Shop」がキラーチューンということだったが、「So In Love」のアレンジも今までにない激しいビートを効かせたもので、ベテランをもビックリとさせた。「Secret Heart」のカバーも彼女の歌声とピッタリと寄り添う。
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- Mike Nock
- Two-Out
マイク・ノックとロジャー・マニンズ(ニュージーランド出身のテナー奏者)とのデュオで、ある意味マイクの真骨頂を垣間見せてくれたそんな気分で、ロジャーの音色もセクシーでクセになる。コールマン・ホーキンスゆかりの「町の噂」がイイ。1980年代の作品で、J.R.モンテローズとトミー・フラナガンのデュオによる『A Little Pleasure』という名盤があるが、それを彷彿とさせる傑作だ。
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- Michael Carvin
- Flash Forward
マイケル・カーヴィンをちゃんと知ったのは、3年前のNYのマーキン・コンサートホールだった。ウィルバー・ウェアのチャリティで一際人目をひくドラマー。所作、動きなど見ているだけで痺れてきた。一音一音に込めたソウルというか迫力が凄まじい。単なる音がでかいとかではなく、美学が感じられたのだ。その場にいたゲイリー・バーツを紹介してくれたしね。その彼の2014年録音作品。いいねぇ。ピアノには、井川弥生が参加。