アナログ専門店オーナーなので、珍盤や貴重盤を選ぶ…と思われるだろう。でも今回は敢えて世間でも名盤といわれているものを選ばせていただききたい。コレクターは高額盤ばかりおっかけており、意外とベーシックな名作を聴き逃していることが多い。ロック界の異才、フランク・ザッパの『Hot Rats』(1969年)はジャズテイストがじつは満載である。そしてテナーサックスといえばジョン・コルトレーンであり、中期の『Giant Steps』(1960年)の男くささと太っといブローはいつ聴いても引き込まれる。アルトサックスは絶対にアート・ペッパー。白人でありながらソウルフルに奏でるサックスは、彼の右に出る者はいないと断言したくなる存在。
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- Frank Zappa
- Hot Rats
ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション解散後、ソロとして発表した問題作であり傑作。ボーカルはキャプテン・ビーフハートが歌うタイトル曲で、ほかはすべてインストである。過去の自作をジャジーに演奏するスタイルは今で言うレアグルーヴ。はちゃめちゃなフリージャズになることもなく、ザッパの様式美がここでもしっかり聴くことができます。
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- John Coltrane
- Giant Steps
レーベルのプレステージ、ブルーノートから大手ザ・アトランティックに移籍してからの傑作。無論、初期の彼も魅力的だが、神がかった魂のブロー、どす黒い演奏を望むならこのアルバムであろう。『My Favorite Things』(1961年)か迷ったが、夜中のドライブにマッチするならやはりこれ。
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- Art Pepper
- Art Pepper Meets the Rhythm Section
白人の彼を支えるリズム隊はすべて黒人。しかもレッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズである。最強のバックを背に彼は泣きのブローを展開。1曲目の「You’d Be So Nice to Come Home To」からグイグイ引き込まれる。