投稿日 : 2016.07.22 更新日 : 2018.12.28
角田太郎(waltz代表)| 「夏の音楽」と私
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トロピカル・オン・カセット
2016年、46年間の自分の人生でもっともカセットテープを聴く一年。このデジタル隆盛の時代にカセットテープが再評価されるなんて誰が想像したことでしょう。カセットテープがもっとも元気だった1980年代の作品をカセットテープで聴くことは、その魅力にもっとも近づく方法のひとつ。せっかくだからトロピカルな夏気分に浸れる3本を。カセットの優しく柔らかいサウンドに乗って、あの夏の思い出が解凍されていきます。スキップもシャッフルも無用。A面1曲目から始まる物語をじっくりと堪能しましょう。
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- Kid Creole & The Coconuts
- The Best of Kid Creole & The Coconuts
元祖ファンカラティーナ。一方、日本ではウィスキーのCMに出演していたこともあり、やや色モノ的に扱われていたキッド・クレオール&ザ・ココナッツ。ニューヨークの気鋭レーベルZEからリリースしていたにもかかわらず、ニューウェイブの文脈で語られることが少ないのはそのユニークな音楽性から。今でもたまに店頭でプレイすると、「今かかっているのは何ですか?」なんて若いお客さんから聞かれます。時代もジャンルも超越したファンキーで楽しいサウンドは、今もまったくその有効性を失っていないですね。このベストはドライブにもぴったり。
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- Miami Sound Machine
- Primitive Love
グロリア・エステファンが世界的なシンガーとして大ブレイクする前夜のグループ作。若々しく、キュートな歌声でしっとり唄うバラードA3「Words Get In The Way」、転じて軽快な大ヒットシングルA4「Bad Boy」、そしてミディアムなA5「Falling In Love」への流れは完璧でしょう。B面にひっくり返すとグループ最大のヒット曲でポップ・ラテン・クラシックの「Conga」からスタート。80s最良の魅力がここにありますね。1985年作。
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- Talking Heads
- Naked
バンドのラストアルバムとなった1988年リリースの8作目。しかしトロピカル指数は全作品の中でもっとも高く、そのサウンドにザ・スミスを脱退して間もないジョニー・マーが大きく貢献していることがこのアルバムを特別なものにしています。ザ・スミス解散後のジョニー・マーの動向から目が離せなかった当時、大好きだったトーキング・ヘッズのレコーディングに参加して、ファンキーなギターを掻き鳴らしていたことがとても嬉しかったことを覚えていますね。ニューヨークを代表するアートロックバンドがイギリス気鋭のギタリストとパリでレコーディングをおこない、アフリカンフィーリングたっぷりの作品を生み出すというこの感性がかっこいい。A5「(Nothing But) Flowers」は、ぼくが作る夏のミックステープには欠かせない1曲。