https://www.facebook.com/kanekosunhouse
Look Back at 2016
Spotifyが日本に上陸して、ヨーロッパのレーベルでリリースされているワールド・ミュージックの多くの音源も無料でシェアできるようになりました。今後どうなるのかという不安と、新しい人と音楽の関係が始まるのではないか、という希望が交互に訪れてくる年でした。そして、ダンス/チル、ワールド/ローカル、ジャズ、ロック、etcといった枠や、人種/民族にとらわれない、土着も洗練も共存する、新しい音が認知され始めている実感を強く持っています。今回のセレクトはそんな音楽です。また、踊るためのものなのか?なんなのか? そんなテクノもよくプレイしました。
-
- Léonore Boulanger
- Feigen Feigen
シャンソン、ジャズ、現代音楽が混在したレーベル、Saravahの意思を受け継ぐとも言われ、パリ、ブリュッセルを行き来するボヘミアンが集うレーベル、Le Saule(ル・ソール)。その中でもひときわ異彩を放つ才女による作品の国内盤リリース。フランス語、ドイツ語、はたまた何語でもない言語で歌われ、バックにはイラン、インド、アフリカの伝統楽器の音色が飛び交う。不思議とポップで、快楽的にすら聴こえる瞬間もある。クリップも凝った作りになっており、その映像と併せて世界観を体験すべき。
-
- Stein Urheim
- Strandebarm
ノルウェーのアーティストによる作品、という以外はよくわからないで買って聴き続け、結局ベストに入ってしまった。Jazzland Recordingsからもリリースがあるというギタリスト、Stein Urheim。これはブルースなのか、ジャズなのかと聴いているうちに、突然に最新のアンビエントやドローンにも聴こえ始める。トルコの弦楽器をも操り、ノルウェーの伝統曲も演奏するが、モジュラーシンセサイザーも使われている。アルバム全体に通底する透明度の高さに浸るうちに、森林浴をしているような感覚にもなった。
-
- Dos Orientales
- テルセル・ビアヘ ~ 三度目の旅
南米ウルグアイの鍵盤奏者、ウーゴ・ファトルーソは、エルメート・パスコアルやアイアート・モレイラらとも並ぶ経歴の持ち主。彼と打楽器奏者のヤヒロトモヒロとのユニットによる、ドス・オリエンタレスの最新作。ウルグアイのカンドンベ、ブラジルのサンバからフォホーなど南米の多彩なリズムの上に、ウーゴによる大地から天空へ飛翔するかのようなピアノが跳ね回る。これもまた、ワールドでもジャズでもないアンサンブルだと思います。ウルグアイのレジェンド、エドゥアルド・マテオの曲のカバーも素晴らしいが、前作で試みられた「戦場のメリークリスマス」の7拍子カバーのような、ポップな名曲の再演もまた聴きたい。