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米現地時間の1月26日、ロサンゼルスのステープルズ・センターで「第62回グラミー賞授賞式」が開催された。昨年11月のノミネーション時に大きな話題となった日本人のジャズ音楽家、挾間美帆(はざま みほ)は惜しくも受賞を逃し、同部門はブライアン・リンチ・ビッグ・バンド『The Omni-American Book Club』がグラミー獲得。
ちなみに、他のジャズ・カテゴリー(5部門)は、誰のどんな作品が受賞したのか…。各部門の受賞作を音源付きで紹介します。
最優秀ジャズ・アドリブ賞
● Best Improvised Jazz Solo
優れた即興演奏やソロ・パフォーマンスを讃える賞。アルバムではなく、楽曲(と演奏者)が対象。アドリブ演奏を重視するジャズならではの部門。
楽曲:「Sozinho」
ソリスト:ランディ・ブレッカー
対象となったのは、ランディ・ブレッカーの楽曲「Sozinho」。同曲の即興演奏(ランディ・ブレッカーによるトランペット演奏)がグラミーを獲得した。対象楽曲「Sozinho」は、ランディ・ブレッカーとNDRビッグバンドが共同名義で発表したアルバム『Rocks』に収録。ランディ・ブレッカーはこれまで19回のノミネートを受け、うち7回のグラミーを獲得。近年では、2005年と2013年に最優秀ラージ・ジャズ・アンサンブル・アルバム。2008年には最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバムでも受賞歴がある。
最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞
● Best Jazz Vocal Album
ボーカル楽曲をメインにして作られたジャズ・アルバムが対象。原則として、新録されたボーカルの割合がアルバム全体の51パーセント以上を占めていることが条件。
『12 Little Spells』
エスペランサ・スポルディング
ベース奏者で歌手としても活躍するエスペランサ・スポルディング。2006年のデビューアルバム以降、7作目となる『12 Little Spells』で受賞。2012年にもアルバム『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』で最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を獲得しており、同アルバム収録の楽曲「City Of Roses」で最優秀インストゥルメンタル編曲賞も授与された。
最優秀ジャズ〈インスト〉アルバム賞
● Best Jazz Instrumental Album
ボーカルを使わず、楽器演奏(インストゥルメンタル)で構成されたジャズのアルバムが対象。原則として、新録されたインストゥルメンタル演奏の割合がアルバム全体の51パーセント以上を占めていることが条件。ジャズ部門の中でもっとも歴史が古く、権威ある賞。
『Finding Gabriel』
ブラッド・メルドー
ピアニスト・作曲家として知られるブラッド・メルドーの最新作。アルバムタイトルは、聖書からインスピレーションを得てネーミング。楽曲の随所にコーラスが使用され、荘厳でスペイシーな雰囲気の一作。1995年のメジャーデビュー以来、20作以上のオリジナル・アルバムを発表し、過去10回のグラミー・ノミネーションを受けているが、ウィナーとなったのは今回が初。
最優秀ジャズ大規模アンサンブル・アルバム賞
● Best Large Jazz Ensemble Album
“大編成のジャズ楽団”による重奏(=ラージ・アンサンブル)作品を対象にした部門。楽団名義の作品や、コンポーザーの個人名義作などさまざま。今回、日本人作家の挾間美帆『Dancer In Nowhere』がノミネート。
『The Omni-American Book Club』
ブライアン・リンチ・ビッグ・バンド
トランペッターのブライアン・リンチが率いるビッグバンド作品。ブライアン・リンチはこれまでホレス・シルバー・クインテット(1982〜85)や、秋吉敏子ジャズオーケストラ(1982〜88)のメンバーとしても活動。2007年には「ブライアン・リンチ/エディ・パルミエリ・プロジェクト」名義で、グラミー賞ベスト・ラテン・ジャズ・アルバムを受賞。今回で2度目のグラミー獲得となった。
最優秀ラテン・ジャズ・アルバム賞
● Best Latin Jazz Album
南米音楽の要素を加味したジャズ(ボーカル/インストゥルメンタル問わず)が対象。これまでに、サルサやキューバ音楽をはじめ、アルゼンチンタンゴ、ブラジル音楽なども選出されている。
『Antidote』
チック・コリア & ザ・スパニッシュ・ハート・バンド
これまで幾度も “ラテン”に執心してきたチック・コリアが、ザ・スパニッシュ・ハート・バンドとともに発表したアルバム(詳しくはこちら)。チック・コリアは今回で23回目のグラミー獲得。ノミネートはなんと65回である。