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休日、ゆったりとした気分で音楽を楽しみたい。そこに合わせる素敵な一杯とは? そんな音楽とお酒のマリアージュを楽しむ連載。第11回目は、レゲエを中心にソウル、ロック、ワールドミュージックと幅広い選曲が魅力の老舗ミュージックバー『MILLIBAR』の店主、清野秀恒さんにセレクトしていただきました。
こだま和文の第2期黄金時代を感じさせる一枚
KODAMA AND THE DUB STATION BAND
『かすかなきぼう』
冬に散歩をして、暖かい家に帰る。そしてリビングでほっとしながら聴きたい一枚がコレです。
僕がレゲエを聴き始めるようになったのは大学生の頃。そんなときに出会ったのがMUTE BEAT(ミュートビート)でした。「欧米でも評価を受けるダブバンドが日本から出てきた」ということが衝撃で、そこからずっと聴くようになりました。
そのバンドのリーダーだったのが、トランペットのこだま和文。MUTE BEATの解散後は長くソロ活動をしており、満を持して結成されたのが、KODAMA AND THE DUB STATION BANDなんです。
メンバーは、HAKASE-SUN(元フィッシュマンズ、リトルテンポ)、森俊也(元ロッキンタイム)など、かつてこだま和文がプロデュースをしたこともある、いわば教え子たち。2019年11月に発売されたこのアルバムは、穏やかで、いい意味で枯れて角の取れた軽やかさがあるんです。
昔からのファンにとっては、かつてMUTE BEATが12インチでのみ発表した隠れた名曲「Sunny Side Walk」が収録されているのもポイント。作曲は故・朝本浩文ですから、追悼の意味もあったのかもしれません。今回、新たに歌詞が加わり味わい深い一曲に仕上がっています。
家飲みとして最適なスコッチウィスキー
THE GLENLIVET
『ザ・グレンリベット 12年』
こだま和文のトランペットには哀愁があり、どこか冬らしさが感じられるんです。そんなときは、冬のお酒であるスコッチを合わせたい。
『ザ・グレンリベット 12年』は、スコットランドのスペイサイド地方で作られていて、シングルモルトウィスキーの入門編ともいわれる一本。価格も3000円前後とリーズナブルで流通量も多いので、ちょっとしたスーパーやコンビニでも手に入る。休日の家飲み用としては、ありがたいお酒といえます。
味の特徴としては、ハチミツの香りが豊富でフルーティー。とくにリンゴのような爽やかな後味があり、バニラの香りも感じることができます。シングルモルトでありながら優美で飲みやすいのが魅力です。
飲み方のおすすめは、そのままニート(ストレート)かロックで。この手軽さも家飲みではありがたいところです。とはいえ、ソーダ割りでも水割りでも、冬にはお湯割りでも美味しい万能さがあります。このお酒が世界中で愛されている理由がわかると思います。
冬のサウンドと、冬のお酒で温まる
マリアージュのポイントは、どちらも「冬」という季節感が感じられるところです。レゲエといえば夏の音楽というイメージか強いかもしれないですが、MUTE BEATから続くこだま和文の作り出す音は、どちらかというと暗くて重い、森厳な冬を感じさせるものがある。そこに、ホワッと温まる寒い地方のウィスキーが染みるんです。
「60代半ばの先輩(こだま和文)が頑張っているんだから、自分も頑張らないと」なんて思いながら、勇気をもらいつつ楽しんでいます。
『MILLIBAR(ミリバール)』の店主。 音楽好き・レコード好きがこうじて大学在学中よりディスクユニオンで働くようになる。80年代後半、渋谷センター街にあったレゲエ・レストランバー『ロシナンテ』で勤務。その後、青山『サルパラダイス』の店長だった吉村氏が自由が丘にオープンした『マルディグラ』へ。その後、96年に独立して『ミリバール』をオープン。
・店舗名/ミリバール
・住所/東京都渋谷区宇田川町33-10 J+Rビル J side 3F
・営業時間/19:00~27:00
・定休日/日曜、祝日
・電話番号/03-5458-0989
・オフィシャルサイト/http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~millibar/