投稿日 : 2020.04.02

エリス・マルサリスが死去 新型コロナウイルス感染による合併症で

エリス・マルサリス

ジャズ・ピアニストのエリス・マルサリスが、現地時間4月1日(水)に米ルイジアナ州ニューオーリンズの病院で亡くなった。85歳だった。息子のブランフォード・マルサリスによると、死因は新型コロナウイルス感染に伴う合併症だったという。

長年ニューオーリンズでミュージシャンとして、また教育者として活動し、ウィントン、ブランフォード、デルフィーヨ、ジェイソンという4人の息子を著名ジャズマンに育て上げた音楽一家の長としても知られるエリス。最期は、ブランフォードとジェイソンたち家族が付き添っていたという。

1934年、ニューオーリンズのホテル運営者の息子として生まれたエリスは、幼少からツアー中の黒人ミュージシャンと交流を持ち、高校のときにサックスとピアノを開始。セロニアス・モンクのファンで、ビバップとモダン・ジャズをこよなく愛していたが、同時にR&Bやソウル、ロックンロールなども演奏していたという。

1956年、オーネット・コールマンとともにカリフォルニアに渡るも数か月で帰郷し、その後は海兵隊に入隊。退役後、ニューヨークのCBSでテレビ番組のソリストを担当し、『The Tonight Show』や『The Ed Sullivan Show』といった人気番組でも演奏。その際にあらゆる音楽ジャンルの技法を習得したという。同時期に教職にも就き、地元の大学や高校をはじめ別州でも教鞭を振るった。

教職を離れた後は、小さなジャズクラブを経営しながら自身のレコード会社「ELM」を設立。息子たちが有名になるまで自身の録音は制限し、彼らが成功したのち、ブルーノートやコロンビアといった大手レーベルから数々の作品を発表した。

父の死を受け、息子のブランフォード・マルサリスは以下のようにコメントしている。

「父は偉大なミュージシャンであり教育者で、最高の父でした。父は私たち息子にすべてを注いでくれたのです。友人の言葉を引用します。『可能性が否定された世界で、自分の息子が優れていることを教え、信じ抜いた純粋さと大胆さに驚かされました。そして今、その息子たちは“優秀さとは何か”を世に再定義しているのです』」