シンガー・ソングライターのビル・ウィザースが、米現地時間3月30日(月)に亡くなったことを米「AP通信」が報じた。家族の発表によると、死因は心疾患との合併症。81歳だった。
「Ain’t No Sunshine(邦題:消えゆく太陽)」や「Lean On Me」、「Lovely Day」などのヒット曲で知られるビル・ウィザースは1938年、米ウェスト・ヴァージニア州の小さな炭鉱町で生まれた。
軍隊生活中に作詞・作曲をはじめ、1965年に除隊したのち、ロサンゼルスで本格的な音楽活動を開始。1971年にはデビュー・アルバム『Just As I Am(邦題:ありのままの私)』をリリース。33歳という遅咲きのデビューを飾った。
1972年のアルバム『Still Bill』をはじめ、数々のリリースを重ねていたが、1985年のアルバム『Watching You Watching Me』を最後に音楽界から遠ざかっていた。その後ビルの曲は、多くの後進アーティストたちにカバーされ、ドクター・ドレーやカニエ・ウェストなどのヒップホップ勢からもサンプリングのネタとして広く使用された。
ビルの功績を讃え、2009年にはドキュメンタリー映画『Still Bill』が制作。また、2015年には「ロックの殿堂」入りも果たした。その時のことをビルはこう語っている。
「私はこれを受け取るような人物ではない。私は社交的でなくてシャイなんだ。ダンスもしないし、いつもギターの後ろに隠れていたくらいだ(笑)。人生何があるか分からない。何かをしている限りね」
2018年にビル・ウィザースのトリビュート・アルバム『リーン・オン・ミー』を発表したホセ・ジェイムズは、彼の訃報を受け「ビルと出会えたこと、彼の音楽や彼自身から学べたことは、僕の人生とキャリアにとって最も大きなものでした」と哀悼の意を表している。