ローファイ・ヒップホップとは?
ローファイ・ヒップホップとは、2010年代後半にネットを中心に醸成された音楽ムーブメント。その認知と人気の広がりを語る上で欠かせないのがYouTubeだ。現在、ローファイ・ヒップホップ曲を専門的に扱うチャンネルは無数に存在し、24時間の配信を実施しているチャンネルも多数。
ファンの多くは、こうしたYouTubeチャンネルを介してローファイ・ヒップホップを聞き、またストリーム配信に伴うチャットが、ファン同士のコミュニケーションの場として機能している。人気のチャンネルになると総再生数が数億回にもおよび、メジャー・アーティストの人気動画にも引けを取らない数字を叩き出している。
【参考記事】ローファイ・ヒップホップとは?
なぜユーチューブなのか
そもそも、なぜローファイ・ヒップホップとYouTubeの親和性が高いのか。理由の一つは「24時間・365日連続でライブ配信ができる」というYouTubeの特性と、リスナーのニーズやライフスタイルが合致したこと。さらに2010年代後半、YouTube側がこうした「ライブ配信をおこなうチャンネルを積極的にレコメンド上位に取り上げる」という仕様になったことも、ローファイ・ヒップホップの認知を高めた。この仕様により、多くのユーザーの目に触れる機会が増大したのだ。
ローファイ・ヒップホップの曲調は、チル(癒し・落ち着くなどの意)とも表現される。こうしたサウンド・デザインは、特に若年層の琴線に触れ、ネットサーフィン、勉強、ゲームなどに合うBGMとして広く受け入れられた。また24時間おこなわれるライブ配信では、ユーザー同士がコメント欄で交流し、不眠に悩むティーンたちのコミュニティとしても機能している。
そんな数あるローファイ・ヒップホップ・チャンネルの中でも人気を集めているのはどこのチャンネルなのか? そのいくつかを紹介していこう。
ChilledCow
https://www.youtube.com/channel/UCSJ4gkVC6NrvII8umztf0Ow
2015年、フランスを拠点にスタートしたチャンネル。このジャンルにおいて最も人気の高いYouTubeチャンネルのひとつ。ローファイ・ヒップホップという呼称と、アニメの少女を使ったGIF動画を定着させたと言われており、総再生回数はすでに4億回以上に到達。
Chillhop Music
https://www.youtube.com/user/Chillhopdotcom
Bas van Leeuwenによって設立されたオランダ発のYouTubeチャンネル。アニメ調のアライグマのGIF動画が特徴的で、上記ChilledCowと同様にシーンで広く認知されている。音楽レーベルとしての側面を持ち、ランデシ(L’indécis)といった人気アーティスト作品やコンピレーションも定期的にリリースしている。
the bootleg boy
https://www.youtube.com/channel/UC0fiLCwTmAukotCXYnqfj0A
チャンネルの総再生回数は約8億回という驚異的な記録を持つYouTubeチャンネル。本拠地はイギリス。「Sad(悲しい)Lofi Hip Hop」と謳ったメランコリックな楽曲を中心に、ライブ配信やミックスのほか、新作の紹介もほぼ毎日おこなっている。
College Music
https://www.youtube.com/channel/UCWzZ5TIGoZ6o-KtbGCyhnhg
イギリス在住のJonny LaxtonとLuke Pritchardが運営するYouTubeチャンネル。まだ世に知られていない気鋭アーティストの最新作を中心に取り上げている。チャンネル名は大学時代に少数の友人グループで一緒に曲をディグしていたことに由来しているという。
R y a n C e l s i u s ° S o u n d s
https://www.youtube.com/user/ryancelsiuss
米ワシントンD.C.在住のDJ Ryan Celsiusが主導するチャンネル。個人的な趣味として2011年にスタートし、今では数百万回を超えるミックスをいくつも有する。ローファイ・ヒップホップに限らず、チルやトラップ、トリップホップやエクスペリメンタル、ヴェイパーウェイブなども取り上げた多角的なミックスも特徴。
Ambition
https://www.youtube.com/channel/UC4X7J9D6VbTIwnFDFNkfQ1A
2017年に開設されたチャンネル。本拠地は米オハイオ。「勉強やゲーム、リッラクス用に」と謳う通り、落ち着いた雰囲気のミックスが多く、『カウボーイ・ビバップ』や『サムライ・チャンプルー』といった日本のアニメをモチーフにしたイラストを使用していることも特徴。ライブ配信はおこなっていない。
STEEZYASFUCK
https://www.youtube.com/user/562Steezy
2012年に始まった米ロサンゼルス発のチャンネル。チャンネル登録者数こそ前出のチャンネルに見劣りするものの、SpotifyやSoundcloudなどにも広く展開し多くのユーザーを有する。今後注目されるであろう意欲的な新人を発掘するプロモーション・ネットワークを提唱している。
The Jazz Hop Café
https://www.youtube.com/channel/UCi8wqezBudeAiTdKOX571ug
ネットをベースにしたラジオ局兼レコード・レーベル。「コーヒーに合う新鮮なビートの提供」をテーマに、ウィークリーでYouTubeミックス、マンスリーでSpotifyプレイリストを提供し、自前のレーベルから音源リリースもおこなっている。
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