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「I♥NY」ロゴのデザイナー、ミルトン・グレイザー死去

ボブ・ディランのポスターや、「I♥NY」のロゴを手掛けたグラフィック・デザイナー、ミルトン・グレイザーが91歳の誕生日の6月26日、脳卒中のためニューヨーク・マンハッタンで死去した。腎臓にも疾患を抱えていた。

ミルトン・グレイザーは1929年、ニューヨーク・ブロンクス生まれ。ニューヨークやイタリアでアートを学び、54年に友人らとデザイン会社を設立。60年代後半に雑誌「ニューヨーク・マガジン」の創刊に携わった。

ボブ・ディランが67年に発表したベスト・アルバム『グレテスト・ヒッツVol.1(Bob Dylan’s Greatest Hits)』では、同封ポスターのデザインを手掛けた。シルエット姿の横顔に、60年代を象徴するようなサイケデリックな色合いで髪を描き、右下に「DYLAN」と記された作品は、ディランがフォークからフォーク・ロックへと進化した時期の代表曲「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリング・ストーン」などを収録したアルバムと共に、ファンに強い印象を残した。

ボブ・ディラン(アルバム封入ポスター/67年)や、ニューポート・ジャズフェスティバル(78年)、モントルー・ジャズ・フェスティバル(76年)、サラトガ・フェスティバル(80年)のポスターなど、音楽関連のアートワークも数多く手がけた。

「I♥NY」のロゴは77年、ニューヨークの観光キャンペーンで使われた作品。地元出身のグレイザーは無償で手掛けた。作品は、Tシャツやマグカップ、キーホルダーなどに使われ、ニューヨークのシンボルとなった。2001年の米同時多発テロの際は、新たなバージョン「I♥NY More Than Ever」を制作。

1960年代の広告業界を描いた米テレビドラマシリーズ「マッドメン(Mad Men)」のポスターや、米誌「エスクァイア」表紙のほか、数多くの企業や団体のロゴ、商品のデザインなどを担当。2009年には米国の芸術分野で最も名誉ある「国民芸術勲章」に選ばれ、オバマ大統領(当時)から授与された。グラフィックデザイナーとして初めての受賞だった。

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