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この記事では、トランペット奏者のロイ・ハーグローヴについて、その人物像とともにおすすめの作品や動画を紹介していきます。
2度のグラミー受賞─ロイ・ハーグローヴの経歴
ロイ・ハーグローヴは米テキサス州出身のジャズ・トランペット奏者。1997年発表のアルバム『ハバナ』でグラミーの最優秀ラテン・ジャズ・アルバム賞、2002年には『Directions in Music: Live at Massey Hall』で最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を獲得。2000年代のジャズ界における“新世代トランペット奏者”の最右翼として注目を集めます。
ロイ・ハーグローヴはこれまでに20作ほどのオリジナルアルバムを発表。古典的なジャズの手法に則った作品をはじめ、ラテン音楽やR&B、ヒップホップに接近したプロジェクトまで、さまざまなテイストの作品を残しています。
学生時代にプロデビュー
米テキサス州の出身のロイ・ハーグローヴは1969年10月16日生まれ。高校時代に、著名なトランペッターのウィントン・マルサリスに見出されプロデビューを果たします。21歳のときに初のアルバム『ダイアモンド・イン・ザ・ラフ』を発表して以降、その演奏力はもちろん、スタイリッシュなファッションでも注目を集めました。
ビッグバンドやRHファクターとしても活躍
彼は自身の名義で演奏活動を行う一方、2003年頃に「RHファクター」というグループ活動も開始。このプロジェクトは、古典的なジャズやブルースの演奏マナーと、今日的なR&Bやヒップホップ、ファンクなどを融和させた内容で、その作風は高く評価されました。
2003年、ドイツのジャズフェスティバル「ジャズバルティカ」に出演したRHファクター
ハーグローヴ率いるRHファクターは、最初のアルバム『ハード・グルーヴ』を2003年を発表。世界中で公演を成功させ、旧来のジャズファン以外の人々にも広く支持されます。以降もこのプロジェクトで、アルバム『ハード・グルーヴ2〜ストレンクス』(2004年)、『ディストラクションズ』(2006年)を発表。2013年には東京でも単独公演を行っています。
またその一方で、トラディショナルなジャズの様式に則った大編成のビッグバンドやクインテット(5人組編成)など、多彩な形態で作品を発表し続けます。
2018年に49歳の若さで死去
多くの名作を生み出したロイ・ハーグローヴですが、2018年11月2日、49歳でこの世を去りました。マネージャーを務めていたラリー・クローシアは彼の死因について、以下のようにSNSで明かしています。
「悲しい報告ですが、ロイ・アンソニー・ハーグローヴが49歳で旅立ちました。死因はかねてより患っていた腎臓の病による合併症でした。ロイはニューヨーク・コミュニティをはじめ世界中に愛されたミュージシャンで、彼のサウンドは世代を超えて、さまざまなミュージシャンに影響を及ぼしました。ロイは、彼の妻や母、兄弟や娘たちの中で今も生き続けているのです」(ロイ・ハーグローヴ公式SNSより引用)
ロイ・ハーグローヴの名盤・人気作
20歳でデビューアルバムを発表し、49歳で亡くなるまで、ロイ・ハーグローヴはおよそ20作のオリジナルアルバムを遺しています。その中から、特におすすめのアルバムをいくつかご紹介しましょう。
グラミー受賞のラテンジャズ作品『ハバナ』(1997年)
ロイ・ハーグローヴの力強い演奏と、アフロ・キューバン・ジャズ(ラテンジャズの一種)が見事にマッチした作品。冒頭曲「オ・マイ・セェ・イェ」は、ベーシックなラテンジャズなのにどこか今風を感じさせるスタイリッシュな曲。本作はグラミー賞で最優秀ラテン・ジャズ・アルバム賞を獲得。
ビバップ様式のタイト&シリアスな演奏『ナッシング・シリアス』(2006年)
ロイ・ハーグローヴ率いるクインテット(5人組編成のバンド)による演奏で、ジャズのスタンダード曲や、メンバーによるオリジナル曲、さらに、ゲストとして参加したスライド・ハンプトン(トロンボーン)の曲も採用。表題曲の「ナッシング・シリアス」は、ギタリストのレオ・クインテロが2005年発表した曲で、ステージでも人気が高いラテン調の楽曲。
レーベル移籍後の意欲作『イヤーフード』(2008年)
演奏スタイルや編成は、前作『ナッシング・シリアス』(2006年)の流れを汲んでいる。注目曲は「ストラスブール/サン・ドニ」。ロイ・ハーグローヴ自身が作った曲で、タイトルはフランスの地名に由来。サックス奏者のキャンディー・ダルファーがカバーしたことでも話題に。
温かいバラードが集まった『モーメント・トゥ・モーメント』(2000年)
優しいストリングスが印象的な作品。冒頭曲「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」は、米作曲家ジョン・フレデリック・クーツが1938年に発表した曲。これまで多くの演奏家にカバーされてきたが、ロイ・ハーグローヴによるアレンジと演奏は秀逸。
RHファクター名義の初作『ハード・グルーヴ』(2003年)
ロイ・ハーグローヴは2000年から2003年にかけて、ディアンジェロやコモン、エリカ・バドゥといったヒップホップ/R&Bミュージシャンの作品に起用されている。そんな彼らが、今度はロイのプロジェクト「RHファクター」に招集された。同名義では3枚のアルバムをリリース。
あまりにも素晴らしすぎるライブ動画集
2009年12月にアメリカのラジオ局で収録されたプレイ。
2001年8月、米ニューポート・ジャズ・フェスティバル出演時。
2009年の秋、スペインで行ったコンサートの模様。
1996年、ドイツのジャズフェス「ジャズ・バルティカ」出演時の様子。
2014年、シンガーポール・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルにて。
2007年、ドイツのジャズフェス「レバークーゼン・ジャズ・デイズ」にてビッグバンドと共演 。
2018年3月17日、モスクワでのステージ。死のおよそ8か月前の演奏。
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